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- 余韻 [2006/03/30]
- 客層が不思議 [2006/03/29]
- 懐かしいです [2006/03/28]
- その名も [2006/03/27]
- 8ヶ月の差 [2006/03/26]
- おやじ達の同窓会 [2006/03/25]
- 眠らせておくには勿体ない [2006/03/24]
- 月刊グラントグリーン4月号 [2006/03/23]
- ほとんど一緒 [2006/03/22]
- 恐るべし [2006/03/21]
- テオ、テオ [2006/03/20]
- さわやか [2006/03/19]
- 深み [2006/03/18]
- 2人じゃなくて3人 [2006/03/17]
- 23年前の存在感 [2006/03/16]
- 詳細不明 [2006/03/15]
- 存在感 [2006/03/14]
- ムース長め [2006/03/13]
- 悪ふざけ [2006/03/11]
- 三つ巴 [2006/03/10]
- ムースやや抑えめ [2006/03/09]
- ピッチが違う [2006/03/08]
- イギリスの人? [2006/03/07]
- 強靭 [2006/03/06]
- ムース多め [2006/03/05]
- そしたらやっぱりこれよね [2006/03/04]
- こんな所にこんな人 [2006/03/03]
- 苦手を克服 [2006/03/02]
- そうだ忘れてた [2006/03/01]
![]() Sofistifunk : Jazzrock Club Classics 99年にIrma Recordsというレーベルからリリースされたコンピレーション。 タイトルに"Jazz Rock Club Classics"とある通り、クラブ受けしそうなジャズ・ロック、ジャズ・ファンク、日本でいうところのフュージョン系の曲が集められている。 本来、フュージョン方面は苦手(聴かず嫌い、偏見ということも含め)な上、こうしたコンピに興味を持つことがあまりないのだが、なかなか面白そうな切り口だったため、リリース当時買ってみたものだ。 それは、Weather Reportなどのいかにもなバンドに混ざり、Gongの曲が収録されていたからだ。 その昔、デビッド・アレン在籍時のGongは好きでよく聴いていたのだが、脱退後のアルバムやいろいろと枝分かれしていったバンドなどはなかなか手が出せないまま、いつしか興味がなくなっていたので、結局聴く機会を逃していた。 もちろん中期や後期ではフュージョン寄りのことをやっていたということは知っているし、何度も手に取ったことはあるのだけれど。 買った当時の印象としては、やっぱり苦手、と感じる曲もあったが全体的にはこういうのも悪くはないね、という程度のもの。 それでも、強烈にインパクトを受けた曲もあって、それはMahavishunu Orchestraの"Vital Transformation"という曲。 これは、今、改めて聴いてもなかなか凄いものがあった。 ビリー・コブハムのドラミングが強烈。 それと今日久しぶりに聴くまで入っていたことすら忘れていたのだが、同じくビリー・コブハムのMassive Attack Massive Attackは先に聴いていたので、この曲を聴いて「お、これが元ネタか!」と少し嬉しかったのを思い出した。 で、改めて聴いた印象。 これが、なかなかいい、というよりかなりいい。 Gongは"Shamal" 今更な感じもするが、ちょっとアルバムが聴いてみたくなった。 続いてジェフ・ベックの"Come Dancing"だが、これもなかなか新鮮。 Gongに続いて、ジェフ・ベックの入ったコンピなんて他にあるだろうか。 そして、やたらとかっこいいな、と思ったらハービー・ハンコックの"Spank A Lee"という曲だった。 ハンコックのこの辺り、まだ全然手を出していないので、聴かねばならんなと思った次第。 苦手意識を持っていたWeather Reportは、"Cucumber Slumber"と"125th Street Congress"の2曲収録されているのだが、これはどちらの曲も嫌いじゃない。 今まで聴いたことがないと思っていたReturn To Foever、"Fight Of The Newborn"という曲が入っていた。 思っていたよりもロック寄りで、悪くはないが、このコンピの中ではやや印象に残りにくい感じ。 知らない名前が2つ。 多分、その筋では有名なのだと思われるAzymuthというバンドの"Dear Limmertz"。 個人的には結構スレスレな線で、アルバムによっては受け付けないものもありそう。 もう1つ、この中では新しめらしいJestofunkというバンド。 どこかで聴いたことある曲だなと思ったら、最近取り上げたばかりのHeadhunters こちらの演奏もなかなか良い。 という訳で、思いのほか気に入り、自分の好みもかなり変わったものだと思った。 そして、勢い余って続編 こちらにも期待。 スポンサーサイト
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![]() Ornette Coleman Skies Of America ロンドン・シンフォニー・オーケストラと共演した72年作。 ライナーによれば、ネイティブ・アメリカンの保護地区にムーンドックを訪ねた時に得たインスピレーションを基に作曲された曲だそうだ。 オーネット・コールマンの作曲家としての面が強調された作品と言えばいいのだろうか。 一応、問題作と言われるものらしい。 98年に初CD化された時に買ったのだが、当然、先に聴いて好きだった"Science Fiction" でも、昨日のライブを見て、久々に何となく聴いてみる気になった。 で、やっぱりどう捉えたらいいのか、理解したとは言い難い。 でも、何となくではあるが、以前よりは違和感を感じることはないように思う。 オーケストラとの共演ということで、現代音楽的な響きもあるが、ジャズの即効的な要素も絡み合って、古さを感じさせない。 レコーディングにあたっては、当初ニューヨーク・フィルハーモニック・オーケストラとの共演を希望していたが実現せず、ロンドンへ渡ることになったそうだ。 そして、ロンドンへ渡る際、自身のグループも連れて行く予定でいたところ、イギリスのミュージシャン組合に阻まれ、単独で乗り込むことになったらしい。 もし、希望通り、ニューヨーク・フィルとの共演が実現し、自分のグループを加えた演奏が実現していたら、また、少し違った形になっていたかもしれないと思うと、ちょっと惜しい。 ロンドンへ渡る前のデモ・テープ作りには、ニューヨーク・フィルのメンバーも多数参加し、総勢80人もの人間が関わったそうだから、力の入れようは相当なものだ。 そういった壮大な演奏が繰り広げられている訳だが、時折登場する自身のサックスは他の作品と変わらず、我が道を行く感じだ。 今、このエントリーを書きながら、2回ほど繰り返して聴いているが、徐々に面白く感じられるようになって来ている。 でも多分、CDで聴くよりもオーケストラをバックにした演奏を生で聴く方がもっと面白いんじゃないだろうか。 そこで、昨日のライブ。 カルテットでの演奏だったから、当然このアルバムと表現は異なるけれども、雰囲気としては"Dancing In Your Head" きっと本人の中では、両者にあまり隔たりはないのだろうし、自分が知っている狭い範囲での印象だが。 話はそれるが、昨日のアルコ担当の方のベーシスト、ほとんどハイポジションを使い、ずっとベースに覆い被さるような体勢だったから腰にくるんじゃないだろうか。 あれだったら、最初からチェロでは駄目だったのか。 多分、駄目なんだろうな。 そして、検索して調べてみたら、ドラムはどうやら息子だったらしい。 76歳の人のやる音楽にはとても聴こえなかったが、「これしかできんのだ」という感じなのだろうな、きっと。 そういう意味でも貴重なものを見ることができたと、改めて思う。 |
![]() Ornette Coleman 03/28/06 Tokyo Metropolitan Art Space - Ikebukuro, Tokyo, Japan 生まれて初めて生で見るオーネットコールマンの東京2日目へ行って来た。 それほど熱心なファンという訳ではないけれど、生で見ることができるのは最後の機会だろうと思って。 事前に分かっていたことといえば、カルテットによる演奏であること、オープニングに山下洋輔さんが演奏することだけ。 正直言うと、最近どんな活動をしているのかも知らないのだが、昨日の渋谷でのライブの様子や評判をネットで調べたりしないまま臨んだ。 その方が、多分面白いと思ったから。 ほぼ定刻通り、7時頃に山下さん登場。 山下さんの演奏を聴くのは2度目だが、前回はトーク・イベントだったので、ちゃんとしたライブとしては初めてだ。 バンドでの演奏かと思っていたら、ソロでたしか4曲で、時間にして30分ほど。 山下さんの作品は、"Chiasma" 若い頃のギラギラした感じとは違うのだろうけれど、しゃべっている時と演奏している時の落差といい、年を重ねても落ち着くことのない姿勢はとても良かった。 最後の曲は、初心に帰ってということで、かなり昔の曲を演奏したそうで、より一層激しく、最も印象に残った。 10分の休憩を挟み、いよいよ御大の登場。 カルテットというから、どんな編成なんだろうと思っていた。 最初中央にあったピアノをサイドに寄せて、再びセッティングし直してあったから、もしかしてピアノ入り?と思ったが、そんな訳もなく気付いたらベースが2本。 そして、もちろんドラムだが、ドラムの前には透明のつい立てのようなものがあって、音量の調整とか、多分そういうことなんだと思うが、初めて見た。 オーネットに位置と思われる場所のサイドには、ヴァイオリンと、演奏が始まってから分かったのだが、トランペットも置いてあった。 一体何する気だ、と思いながらスタートを待つ。 で、1曲目、いっさい曲名などは不明だが、いきなり飛ばす。 ここにも落ち着くことを知らないミュージシャンが。 そうか、まだこういう感じの曲やってるんだと思って、身を乗り出してニヤニヤしてしまった。 そうなるとああいった会場じゃなくて、もっと小さいクラブなどで見たい。 きっともっと迫力があったはずだ。 ベース2人の大雑把な分担としては、片方がベース・ランニング中心で、もう片方がアルコ中心。 時には2人ともアルコで、オーネットがヴァイオリンと、もう訳の分からないことになっている場面もあった。 基本的には、バックの3人がフリーっぽい演奏を繰り広げ、オーネットはのどかなフレーズでゆっくりとちゃんと乗っているのか乗っていないのか微妙なバランスで、乗っかるパターンが多い。 演奏が始まって1時間ほどのところで山下さんが再び登場。 ピアノがずっと置いてあったから、共演するのはほぼ分かっていたけれど。 何やら3コードの曲が始まったが、まともな訳もなく、どこかいびつな感じ。 若干、ピアノが入りにくそうな印象を受けた。 ゲスト参加ということもあるが、このカルテットの音楽性にピアノの入る余地があんまり無さそう。 音量的にピアノが聴こえにくかったせいもあるかも。 次の曲では、女性ヴォーカルが登場し、歌い始めるのだが、サックスを超えに置き換えたようなインプロヴィゼーションを繰り広げたり、何やら異様な雰囲気になる場面もあった。 あれは、一体なんだったんだろう。 そして、9時を少し回った辺りで1度終わり、アンコールを入れてトータル1時間半ほどの演奏だった。 印象に残ったのが、演奏中、オーネットがほとんど後ろを振り返らないこと。 曲間でも後ろを向いて、メンバーに何か伝えるという場面は数えるほどしかなかった。 放任、と言う訳でもないだろうが、そういうバランスで成り立っている演奏がなかなか面白かった。 オーネットのトランペットとヴァイオリンは、お遊び程度のものだが。 途中、なかなかハードルの高い展開もあって、体調も少し悪かったから、2度ほど吸い込まれそうになったが、なかなか面白いものが見れたと思う。 でも、やっぱりもうちょっと違う雰囲気の場所で見てみたいし、できればダブル・カルテットなんてのも見てみたい。 無理かな、もう。 |
![]() Courtney Pine Underground 97年のアルバム。 コートニー・パインについては、あまり知らないのだけれど、この1作前の"Modern Day Jazz Stories" でも、"Modern~"はそのとき買わずに、こちらのアルバムの方を先に買った。 このアルバムでは、ヒップホップを導入した、ということでより興味を持ったのだったと思う。 そして、これはよく聴いた。 最初こそ、今ひとつ入り込めなかったものの、後からジワジワと効いて来て、気付いたらこのアルバムとGang Starrの"Moment Of Truth" そんなお気に入りのアルバムだったのだが、当時あまりに聴き過ぎて飽きてしまい、その後ずっと棚の中で眠っていたのだが、今日何となく引っ張り出してみた。 まず、懐かしい。 そして、今聴いてみるとヒップホップ風なトラックに乗った曲は思ったほど多くはない。 ジャズそのものの曲にスクラッチが入る程度のものもあるし。 当時、グレッグ・オズビーだとか(聴いたことないんだけど)、いくつかこうしたアプローチを取ったと思われる作品があったのだが、ジャズ側からヒップホップへ、というのは意外と少ない印象がある。 多分、知らないだけで他にもあるのだとは思うけれど。 タイトルほど、アンダーグラウンドな感じはしないものの、そういった作品の中では成功しているものの1つだと思う。 そして、当たり前だが、サックス、うまい。 流れるような見事なプレイだ。 きっと、この辺もアンダーグラウンドな感じがしないことにも繋がっているような気がする。 当時は、まったく気にしてなかったが、ソプラノ&テナー・サックスに、バスクラ、フルートと多才な人だったのね。 とりあえず今でも聴くに堪えるということも分かったし、気楽に聴ける良いアルバムなのではないかと思う。 グラント・グリーンが長生きしてたら、もしかしてこういうところにも顔を出してたのかもしれないな。 ちょっと聴いてみたい。 |
![]() Ornette Coleman Free Jazz 60年録音、61年リリースのアルバム。 オーネット・コールマンの代表作をいくつか挙げるとすれば、大抵その中に含まれる1枚ではなかろうか。 どういう順番だったか忘れたが、"Science Fiction" あまりにも直球なアルバムタイトルに惹かれて選んだのだったと思う。 が、これが全然分からなかった。 どこが凄いのか、いや、何となく凄さは感じたのだが、どう楽しんだものか困ったというか、入り込めなかったのだ。 だから、何度か試したものの、長らく棚の中で眠ることとなった1枚だ。 そして、数日後にオーネット・コールマンのライブを控え、10年ほど前に聴いて衝撃を受け、最近ようやく手に入れたばかりの"Dancing In Your Head" ここ1年くらいで、自分のジャズを聴く耳も変わって来ているし、きっと楽しめるだろうという期待を込めて。 で、思った通り、これはなかなか楽しい。 完成度よりも、こういうダブル・カルテットという形態でこういう音を表現したことの歴史的な意義の方が大きいのかもしれないが、後の、自分が聴いたことのある中では、"Dancing In Your Head"や"Virgin Beauty" それぞれ好き勝手やっているだけに聴こえるが、各人が周りの音をちゃんと聴いていなければ成立しないはず。 それは、言うまでもなくどんな音楽を演奏するにも当てはまる、当然のことではあるけれど、より集中力が必要とされるのではないだろうか。 楽器同士の絡みやぶつかり合いを追うのが面白い。 加えて、以前はまったく知らないで聴いていたのだけれど、参加メンバーのなんと豪華なことか。 特にエリック・ドルフィーのバスクラとスコット・ラファロのベースが印象的だ。 この盤では、レコードに倣って"Part 1"と"Part 2"の2曲に分かれていて、"Part 1"の終わりでフェードアウトし、"Part 2"の始まりではフェードインして来るので、通して聴くとやや気が削がれてしまう。 最近の盤では、どうやら1曲にまとめられ、なおかつテイク違いまで収録されているようだ。 普段なら滅多に同じアルバムを買い直すことはしないし、テイク違い目当てに買うことも少ないのだが、これは少し気になる。 とか言っている間に、今日の情熱大陸、見るのも録画するのもすっかり忘れてた...。 |
![]() Wayne Shorter Night Dreamer ブルーノート初登場となった64年作。 何回か前のエントリーで取り上げた"Speak No Evil" 編成はまったく同じだが、トランペットがこちらがリー・モーガン、あちらがフレディー・ハバード、ピアノがこちらがマッコイ・タイナー、あちらがハービー・ハンコック、ベースがこちらがレジー・ワークマン、あちらがロン・カーター、ドラムはどちらもエルヴィン・ジョーンズ、となかなか面白いことになっていて、"Speak No Evil"のところでも触れた通り、その違いを聴き比べてみたかったのだ。 で、実際に聴いてみて。 こちらの方が"Speak No Evil"よりも、一聴しただけですんなりと入ってきた。 とても心地の良い音、演奏だ。 もちろん"Speak~"が良くないということでなく、あくまでも個人的な第一印象。 わずか8ヶ月の違いでこの印象の違いは何だろうと少し考えてみた。 こちらのアルバムの方が、それまでのジャズに倣った曲、演奏で、少しばかり古臭さを漂わせていて、"Speak~"の方では、もう2、3歩踏み込んだ印象がある。 それほど大きな違いではなくて、ほんのちょっとしたことのような気もするのだが、結構驚かされた。 分かりやすいところでは、モーガンの落ち着いた感じとハバードの元気な感じが対照的だ。 でも、きっとそんな表層的なことだけではなく、それぞれのアルバムに参加したメンバーの資質の違いや、ショーターの作曲能力など、いろいろな要素が絡み合っているのだろうと思う。 それに加えて、この頃のジャズ・シーンがもの凄い速度で変化していたということの表れでもある。 勝手な勘違いから"Speak~"の方が古いアルバムだと思って先に聴いたのだけれど、やっぱりこちらを先に聴くべきだったと少し後悔している。 ということを踏まえて、今、"Speak~"の方を聴き直している。 これがマイルスの欲しがった才能かと思うとなかなか興味深い。 こうなる時になるのが、この2枚の間に挟まれた"Juju" |
![]() Zero "Chance In A Million Reunion" 03/09/06 Cervantes Masterpiece Ballroom - Denver, CO 先日、3日間に渡って行われた、再結成Zeroの1日目。 昨年11月に"Zero II"という名義で、突然(?)ライブを行い、驚かされたのだが、その時はキモック抜き、ドラムのグレッグ・アントンのバンド、Gregg's Eggsのメンバーが参加していたりと、少しばかり疑問の残るものだった。 だが、その後のキモックのコメントによると、キモックを含めた再結成の方向で話が進んでいたものの、スケジュールなどの調整が充分でないままブッキングされてしまい、会場の都合などもあって、急遽Zero IIとしてのライブとなったそうだ。(mikionさん、合ってます?) そうなると気になるのが、ベースのボビー・ヴェガの参加なのだが、残念ながらそれはなかった。 同じくヴェガ不参加だったZero IIの時、キモック抜きなら参加していても良いのでは?と思ったのだが、上記のような事情があったのならなんとなく納得がいく。 詳しくは知らないのだけれど、キモックとヴェガの関係は今どうなっているんだろう。 そうだ、キーボードのチップ・ローランドも残念ながら不参加。 という訳で再結成Zero。 1曲目が"Cole's Law"から。 何となくバンド全体で微調整しながら、探り探り演奏しているように聴こえる。 3日ともキモックの息子、ジョン・モーガン・キモックがドラムで参加していて、グレッグ・アントンとの分担をどうしているのか、クレジットにないので不明なのだが、何となくこの曲ではジョン・モーガンが叩いているような気がする。 だからか、間の取り方が今ひとつ。 あくまで、息子が叩いていると仮定して、この曲のドラムは表現力が要求されると思うので、なかなか難しいだろうと思う。 それでも、後半、徐々に盛り上がりを見せ、次の"Tangled Hangers"に繋ぐ。 この"Tangled Hangers"、なかなかいい。 "Catalina"でやっとヴォーカルのジャッジ・マーフィーが登場。 この人のヴォーカルはこの曲、というイメージを勝手に持っていて、何となく嬉しい。 実際、なかなかいい演奏だ。 それにしても、セカンドセット終わりの"No Woman No Cry"ではゲストがヴォーカルを取るし、この人の出番がなかなか少ない。 ギターを弾く訳でもなく、出番の少ないヴォーカリストってどんな気分なんだろうか。 この日、その他に印象に残った曲をいくつか。 "Smells Like Girls Drum"、タイトルが微妙な感じなので、どんな曲だ?と思っていたら、とても良い曲だった。 Setlist.comで調べてみたら、少なくとも86年にやっていたようだから、誰の曲なのかは分からないが、古い曲のようだ。 多分、この曲もドラムは、ジョン・モーガン。 後は、いつ聴いても楽しい"Sun Sun Sun"。 それに"Merl's Boogie"に、アンコールの"Sleepwalk"あたりだろうか。 そうだ、順番は前後するが、"Listen Here"も良かった。 これは、エディ・ハリスの曲? と、そんな感じで、3日間ともなかなか評判が良かったようだし、聴く限りでは良い雰囲気だ。 "Cole's Law"が始まると、「シーッ、シーッ」と言っていると思われる客の声が録音されていて、なかなか笑える。(気のせいでなければ) 残り2日分も聴くのが楽しみだ。 |
![]() The Headhunters Survival Of The Fittest 75年のファースト・アルバム。 ハービー・ハンコックの名盤"Headhunters" ちなみにプローデュースは、ハービー・ハンコック。 このアルバムは、たしか再発されたばかりの頃、6、7年前に何となく買ったものだ。 恥ずかしながら、まだハービーの方の"Headhunters"を聴いたことがなく、何度か手には取ったものの、なぜかこちらを買ってしまった記憶がある。 多分、ハービーの方はあまりにも有名なアルバムだし、勝手なイメージを作って抵抗を持っていたのだろう、今思うと。 そうやって購入したこのアルバム、当時は全然気に入らなくて、数回聴いたのみ。 今日、何かiTunesに読み込もうと思って、適当に棚から出した中の1枚がこれだった。 で、さっそく聴いてみている。 久々に聴く前は、中途半端なアルバムという以前植え付けられた、というかそう思い込んでいたイメージが強かったので、期待はまったくと言っていいほどしていなかった。 1曲目"God Make Me Funky"は、ドラムからたらたらと入るのだが、このドラム・ブレイクは多分何かに使われているんだろうな、等と考えながら呑気に聴き始めた。 でも、しばらく聴き続けるうちに徐々に印象が変わる。 これは、凄くかっこよく、そして、黒い。 先日のキモックがゲスト参加したPorter Batiste Stoltzにも通じるし、もちろんキモック自身のSKBにもこういうところからの影響が感じられる。 ここ数年、そういうものを聴き続けていたおかげなのか、好みが広がったようだ。 嬉しい変化だ。 他には、Moonflowersの連中のファンク風味って、多分、こういうところからも影響受けてるんだ、と今更ながら理解した。 サイド・プロジェクトのPraise Space Electric という訳で、今まで棚に眠っていたこのアルバム、なかなかのお気に入りになりそう。 他のアルバムも聴いてみたいが、その前にハービーの方をいい加減聴いておいた方がいいかな。 |
![]() Grant Green The Complete Quartets With Sonny Clark 61年から62年にかけて行われた3回のセッションを収録した2枚組。 タイトル通り、ソニー・クラークとのカルテット。 ただ、レコーディング当時はお蔵入りとなり、79年から80年にかけて"Gooden's Corner""Nigeria""Oleo"の3枚のレコードとして日本でリリースされたのが最初で、CDとしては、以前、このカルテットにアイク・ケベックを加えた演奏等も含め、マイケル・カスクーナのレーベルであるモザイクから4枚組としてリリースされていたこともあるそうだ。 現在、アイク・ケベック入りの演奏は"Born To Be Blue" なかなかややこしい。 まず1曲目、ソニー・ロリンズ作曲の"Airegin"でぶっ飛ばされる。 これは、なかなか楽しい。 ディスク1枚目の1曲目から7曲目では、アート・ブレイキーのドラムがドカスカ暴れていて爽快。 よくよく考えてみると、ピアノ入りでオーソドックスにスウィングするグラントのギターって初めて聴いたかもしれない。 今まで聴いた中では、"Green Street" そういう意味では、なかなか新鮮。 実は、ソニー・クラークのピアノは初めて聴いた。 なかなか軽やかで良いが、流して聴くとそのまま流れて行ってしまいそうだし、少し聴いたくらいでは意外と評価が難しそうなタイプと感じた。 ここでの演奏がベストではないのだろうし、いずれは他のアルバムも聴いてみたいなと思う。 密かに期待していたのが、"My Favorite Things"。 でも、最初のテーマのフレーズ、そう弾くの?と少し肩すかしを喰らった。 聴く側としては、たぶんコルトレーンのイメージが強いからなのだが、そこは普通にメロディーを弾いて欲しかった。 と思いながらもきっとそのうち慣れるだろう。 今のところ、この曲よりは"On Green Dolphin Street"やまたもやロリンズ作曲の"Oleo"なんかの方が印象に残った。 難点を言えば、長い。 演奏や曲についてではなく、アルバムが。 LPのアルバム1枚40分くらいっていい時間だなと久しぶりに思った。 まあ、聴くたびに全部続けて聴く必要はないし、演奏は良いので、単純に楽しめのだけれど。 なぜこれがお蔵入りになったのか、理由はよく分からない。 同じ時期にレコーディングされ、リアルタイムでリリースされた作品を聴いてみれば、もしかしたら何か感ずるところがあるのかも。 なんてことを考えながら、来月は"Sunday Mornin'" |
![]() Konono N°1 Lubuaku 2004年にリリースされた、2003年2月5日のオランダでのライブを収録したアルバム。 オランダのThe Exというバンドのオープニングアクトだったそうだ。 The Exは、ノイズ、アヴァンギャルド系のバンドで、オランダのSonic Youthなんて紹介されることもあったように記憶している。 少し前にTortoiseとコラボレート もう結構なキャリアになるバンドで、かなり前から名前は知っていたし、多少興味を持ったこともあるのだが、実際に音は聴いたことがない。 ちょっと調べてみたら、最近ではアフロ・ビート等も取り入れたりしているらしく、そういう繋がりでThe Exの方からアプローチがあったのだろうと思う。 このライブ盤の存在を知った時、意外な名前が登場して来たので少しばかり驚いた。 このライブ盤を購入したのは、もちろん少し前に取り上げた彼らのアルバム"Congotronics" あまりにも面白かったので、すぐに注文し、それが昨日届いた。 そして、3年ほど前にはどんなことをやっていたのだろう、と思いながら聴いてみたのだが、これが"Congotronics"とほとんど一緒。 ある程度は予測していたけれど。 強いて言えば、"Congotronics"の方がもう少し整理されているというか、テンポに変化があったり、いろいろと工夫が施されているように思う。 詳しくは分からないのだが、"Congotronics"に収録された曲の中にもライブと思われるものもあったし、レコーディングもきっとライブに近い状態で行われたのだろうから、ほとんど変わりがないのだけれど、アルバムということを意識して作られたという印象は多少あるので、入り口としてはちょうど良いのかもしれない。 でも、このライブ盤がつまらないかと言うとそういう訳ではない。 よりストレートで生々しく、やはりエレクトリック・リケンベの歪んだ音に持っていかれる。 そして、このリズムのたくましさは何なんだろう。 ミカ・カウリマスキの映画「モロ・ノ・ブラジル」 やっぱりこれは、生で聴かないと。 |
![]() Wayne Shorter Speak No Evil 64年のアルバム。 ブル-・ノートにおける第1作目にあたる"Night Dreamer" この頃のジャズ・ミュージシャンにとっては普通のことだったのかもしれないが、それも実力、才能あってのことだろうと思う。 さらにこのアルバムのレコーディングの時は、既にマイルスのバンドに参加していた頃。 このアルバムと前述の"Night Dreamer"のメンバーの違いによる変化を比べてみると面白いよ、なんてTさんから教えられたもので、もちろんいずれはリーダー・アルバムを聴いてみたいと思っていたし、その2枚を買ってみた。 でも、リリース順に聴いてみようと思っていたのだけれど、てっきりこの"Speak No Evil"の方が先だと勘違いしていた。 だから、まだ"Night Dreamer"の方は未聴。 その上での感想だ。 このアルバムでは、フレディー・ハバード、ハービー・ハンコック、ロン・カーター、エルヴィン・ジョーンズと何とも豪華なメンバーが参加している。 通勤の時、行きに1回、帰りに1回と聴いた時の印象では、とても良いけど、まだよく分からんというのが正直な感想だった。 同じ時代のものだったら、エリック・ドルフィーの"Out To Lunch" でも、帰宅して、スピーカーを通してやや大きめの音で聴いた時、ちょっとばかり印象が変わった。 一癖も二癖もありそうな人達が、見事に調和しているなと感じる。 当たり前だが、高い次元で。 加えて、ウェイン・ショーター自身のスケールの大きさも。 それでもまだ、この人の良さ、才能を正確に理解したとは言い難いけれども、これはきっと前回の"Miles Smiles" "Night Dreamer"だけでなく、マイルスのアルバムやアート・ブレイキーのグループの頃のアルバム、その他サイドマンとして参加した作品なんかとも聴き比べているのも面白いかもしれない。 なんて言っていると、聴きたいものが芋づる式に増えていくのだ、また。 |
![]() Miles Davis Miles Smiles 66年録音のアルバム。 言わずと知れたウェイン・ショーター、ハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスというアコースティック期最強と言われることの多い布陣による作品。 マイルスとグラント・グリーンについては、毎月、何かしら1枚は聴いて行こうなんて考えていて、このアルバムにエディ・ハリス作曲の"Freedom Jazz Dance"という曲が収録されていることが分かったので選んでみた。 ミロスラフ・ヴィトウスによる"Freedom Jazz Dance" という訳で、アルバムとしては正真正銘、今日初めて聴いたのだが、1曲目からインパクトが凄い。 なぜもっと早く聴かなかったのだろうなどと思いつつ、上記の"Freedom Jazz Dance"の件がなくともいずれは間違いなく手に取っていたアルバムなのだけれど、それが良いきっかけになったようだ。 何しろ、メンバーがメンバーなだけに寸分の隙もない。 これに近い時期としては、"My Funny Valentine" それに加えて、ハービー・ハンコックにトニー・ウィリアムスなのだから悪い訳はない。 肝心の"Freedom Jazz Dance"については、まだ聴き比べに至っていないので、いずれまた別の機会にでも。 でも、このアルバムではこの曲のアレンジをギル・エバンスがやっていることを知って、ちょっと驚く。 個人的に聴き慣れていた曲は、やっぱり"Footprints"。 これは、スティーブ・キモックが主にKVHW時代から初期のSKBにかけて度々演奏していた曲だ。 やっと原曲が聴けて嬉しい限り。 このアルバムは、もっと聴き込めば、もっと味が出てくるはず。 本当はそれから取り上げようと思ったのだけれど、あまりにもインパクトが強かったので。 こうなると、このメンバーによる作品でまだ聴いていない"E.S.P." けど、これと"Nefertiti" |
![]() Neils-Henning Orsted Pedersen This Is All I Ask 去年亡くなってしまったデンマーク出身のベーシスト、ニールス・ヘニング・オルステッド・ペデルセンの98年リリースのアルバム。 この人の経歴等について、未だによく知らないのだけれど、リリース当時、雑誌で紹介されていたのを読んで買ってみたものだ。 まあ、ベーシストだから、とかそんな単純な理由で興味を持ったのだったと思う。 そして、その頃、リアルタイムで買った数少ないジャズのアルバムでもある。 あとは、コートニー・パイン 改めてライナーを読み返してみたら、バド・パウエル、デクスター・ゴードン、ケニー・ドリュー、オスカー・ピーターソン(このアルバムにも参加)等との共演で知られ、早いパッセージも楽々と弾いてしまうテクニシャン、ということが分かった。 ちょっと意外に思ったところでは、アルバート・アイラーのアルバムにも参加している。 当時は、雰囲気は嫌いではなかったのだが、どうも良さが分からず、数回聴いただけだった。 だから、聴くのは本当に久しぶりのこと。 CDの帯には、「ぬくもりという名のジャズ」と書いてあって、個人的にこの表現はむずがゆい感じなのだが、そういったイメージ通り、温かみのある丁寧に作られたアルバムだと思う。 少し前に聴いたノルウェーのインゲル・マリエ・グンナシェンのアルバム あちらはヴォーカル中心だし、やっていることは全然違うのだけれど。 全体的にゆったりとした中で、表情豊かなベースが活躍する。 そして、随所にもの凄いテクニックが織り込まれている。 今日、再び聴くまでは、緩やかな演奏のイメージだけがあったので、再発見というか、ようやく凄さが分かった感じだ。 すっかり忘れていたのだけれど、ヴォーカル曲が2曲に、スリリングな演奏が聴ける曲も2曲ほど収録されている。 ヴォーカル曲については、悪くはないけれど、まあどちらかといえば月並みな感じ。 一方、スリリングな2曲"Traces Of The Past"と"As Is"では、なかなか聴き応えのある演奏が楽しめる。 ライナーでは、この"As Is"がエディ・ハリスの"Freedome Jazz Dance"に似ているとされていて、興味深い。 ペデルセンの作品の中で、このアルバムがどういった評価を受けているのか、さっぱり分からないのだけれど、なかなかの再発見。 もう少し行ってしまうと好みではなくなりそうな曲もあるにはあるけれど。 たまに引っ張り出して聴くにはよい感じだ。 機会があったら、他の作品も聴いてみたい。 |
![]() Bonnie 'Prince' Billy I See A Darkness 99年リリースのこの名義では1枚目のアルバム。 以前から聴いてみたいと思っていたのだが、この度ようやく聴くことができた。 というより、ようやく買ってみる気になったと言った方が正しい。 このアルバム以降の作品、中でも"Master And Everyone" 後のアルバムに比べるとより素朴な感じがする。 最近のアルバムでは、音響的な配慮がより深まっているのがよく分かるし、このアルバムでは少しばかりとっ散らかった印象さえある。 けれど、決してそれがマイナスなのではなく、本質的には何も変わっていないということも分かる。 もう、曲の雰囲気はこの人そのものだし、まだPalaceで始まる名義時代の音を聴いていないであくまで想像だが、93年のレコード・デビュー当時から、変わっていないのだろうと思う。 多分、初期と最近の活動の中間というか、過渡期的な作品、という感じなんじゃないだろうか。 これも想像だけれど。 1曲だけ他の曲と比べ桁違いに引き込まれる曲がある。 それは、アルバムのタイトルでもある3曲目の"I See A Darkness"という曲。 なんと表現したらいいのか分からないのだけれど、この曲を境に聴いている時の集中力が増す。 そして、この曲は、ジョニー・キャッシュが晩年、"American III: Solitary Man" たしか、ウィル・オールダム自身も参加しているはず。 残念ながら、ジョニー・キャッシュは聴いたことがないのだけれど、目の付けどころが素晴らしいと思う。 以前から興味を持っていたのだが、より一層興味が湧く。 この人の作品は、なかなか1、2度聴いただけでは深く入り込めない。 このアルバムもそうで、とても良いのだけれど、まだそこまで入り込んでいるとは言い難い。 でも、何度も聴くうちにきっとはまることができるだろう、と期待が持てる、そんな1枚。 |
![]() Mike Gordon And The Benevento/Russo Duo 04/27/05 The Georgia Theatre - Athens, GA Phishのベーシスト、マイク・ゴードンとBenevent/Russo Duoによるトリオ。 最初、Benevent/Russo Duoを知らなかったため、マイクと"Benevent Russo"という人のデュオだと本気で思っていて、聴いてみたらどう聴いても3人いるし、なぜ??と少し不思議に思っていた、なんて恥ずかしい思い出がある。 bt.etree.orgでダウンロードした音源を聴いてなかなか面白かったため、LivePhish.comで正式に発売された時、すぐに購入してみた。 この日の演目は、約50分に及ぶ、Phishの"Foam"の1曲のみ。 たしか、bt.etree.orgでは、2セット目のある音源も出回っていたような気がするが、気のせいかもしれないし、1年近く経ってしまった今となっては調べようもない。 それはさておき、"Foam"。 と言っても、たまに思い出したように聴き慣れたフレーズが登場するくらいで、ほとんど別の曲に生まれ変わっている。 あっちへフラフラ、こっちへフラフラとめまぐるしく展開して行く。 トレイのギターがないのが物足りなかったり、それが新鮮で面白かったり。 その分、マイクのブリブリのベースが堪能できるし、歪んだエレピも良い。 2回ほど酔っぱらいのようなヴォーカルが入るのだが、それはいらないような気がする。 そこだけ、少し残念。 でも、50分飽きることなく聴けるし、気持ちいいのでたまに聴きたくなるショーだ。 Benevento/Russo Duoって、どんなことやってるんだろうか。 ちょっと興味が湧く。 |
![]() 与世山澄子 Introducing 83年のファーストアルバム。 でも、この時点でのジャズ・ヴォーカリストとしてのキャリアは既に30年近く。 アメリカ占領下の沖縄、という特殊な環境で歌い続け、東京へ出てくることも考えたことがあったそうだが、時代的に実現できなかった、なんてことがライナーに書いてあった。 日本のジャズ・シーンの中では、沖縄に凄いヴォーカリストがいるという噂になっていたそうで、満を持しての登場となったアルバムらしい。 これはもう、イメージ通りのジャズ・ヴァーカル・アルバムと言ったらいいだろうか。 "Interlude" どちらのアルバムが良いかといえば、甲乙つけ難い、としか言いようがない。 個人的にはサックスがちょっと、と思う部分も少しあるが、そんなに気にするほどではない。 ここでは、与世山さんご自身が好きだという曲が歌われていて、やはり一音一音丁寧に、そして堂々と歌われている。 今まで、ジャズのヴォーカルものは聴かず嫌いというのも含め、少し苦手意識があったのだが、ここのところ違和感なく楽しめていて、自分でも少し驚いている。 ピアノものが苦手だったのが大丈夫になったのとも関係あるのかも。 けど、この場合、単純に与世山さんの歌声の力のおかげだろうと思う。 じっくりと聴ける、とても良いアルバムだし、"Interlude"と併せて聴くのも面白いと思う。 rollins1581さん、こっちもお薦めです。 |
![]() Ulf Sandberg Quartet Ulf Sandberg Quartet 93年、アシッド・ジャズよりリリースされたアルバム、という以外に情報がない。 シダー・ウォルトンの"Bolivia"やってるよ、とTさんより教わったものだ。 少しばかり検索してみたら、Ulf Sandberg(ウルフ・サンドバーグ?サンドベルイ?読み方分からず...)はホレス・シルヴァーに影響を受けたピアニスト、ということだけは分かった。 アシッド・ジャズというのも懐かしい響きなのだが、当時興味を持っていくつか聴いてみたものの、悪くはないけどねえ、という程度で良さが今ひとつ分からず、深入りはしなかった。 そんなアシッド・ジャズの中で最もモダンジャズ寄りな演奏をしていたグループだそうだ。 で、聴いてみると、モダンジャズ寄り、どころかモダンジャズそのもの。 とても70年代っぽく感じられる。 1曲目に"Bolivia"をやっているせいだからだと思うが、コンセプト自体シダー・ウォルトンの"Eastern Rebellion" 勢いがあって気持ちの良い音だ。 外で歩きながら聴いた時よりも、部屋でスピーカーから流れる音の方が印象がいい。 目当ての"Bolivia"は、カヴァーというよりは原曲に忠実にやっている印象。 でも、サックスはジョージ・コールマンよりいいかも。 前述の"Bolivia"が2テイク、3曲目の"I Mean You"がセロニアス・モンクの曲である以外は、すべてオリジナルらしい。 作曲能力も高いようだ。 ただ、ちょっとばかり93年ということを考えると、その当時として新しさと言うか、プラス・アルファは感じられない。 なんて思いながら、改めてジャケットを良く眺めてみたら、メンバー等の記載はまったくないのだけれど、ストックホルムに住んでいて、ジェイムス・テイラーにジャズ・ピアノを教えた、なんて書いてあったから、キャリアの長い人なんだろうか。 もしかして、古き良きジャズを再現するとかそういうコンセプトでもあるのかと思ったのだが、長年培ったものがごく自然に表現されたアルバムなのかもしれない。 だとすると、プラス・アルファがどうとかってのはお門違いも甚だしい。 何しろ、年齢や経歴がまったく分からないので...。 とりあえず、フォローという訳ではないが、後からジワジワ来そうなとても良いアルバム。 他には作品ないんだろうか。 |
![]() 与世山澄子 Interlude 昨年リリースされた、そして約20年ぶりにレコーディングをしたという4枚目のアルバム。 別に昔から知っていた訳ではなく、このアルバムが発売され、話題になったことで知った程度なのだけれど、ここ最近気に入って愛聴している。 長年、沖縄のご自身の営む店で歌い続け、今回レコーディングもそこで行われたそうだ。 そして、アルバムのタイトルはその店の名前から。 このアルバムを聴くよりも先に、去年の9月11日のことだから、もう半年近く前になるのだけれど、このアルバムの発売記念ライブを横浜まで見に行った。 そのライブは、普段ジャズ・ヴォーカルを聴かない自分も素直に良かったと思えるような内容で、特に、どこから出てるの?という感じの声の存在感がとても素晴らしかった。 また、このアルバムでもバックを務める面々の演奏も素晴らしいもので、去年から今年にかけて、何度か菊地成孔さんのサックスを生で聴く機会があったのだけれど、この日の演奏が一番印象に残っている。 で、アルバムについて。 1曲目のイントロのベース、ヴォーカル、ピアノと順番に入ってくるところでグッと引き込まれる。 暗い雰囲気のベースラインにヴォーカルが乗ると雰囲気が変わり、ピアノが入るとまた更に雰囲気が変わる。 南博さんのピアノはいい。 実は、結構好きで先週も吉祥寺まで聴きに行ったのだが。 後はやっぱりレコーディングの素晴らしさだろうか。 プロデュースにパードン木村氏、エンジニアにフィッシュマンズに深く関わっていたZAK氏。 古いレコードの空気感を模したと思われるヒスノイズのようなものも入っているのだけれど、それが嫌みでも奇をてらって感じでもなく、独特な雰囲気を作り出している。 きっと、与世山さんが長年歌い慣れた自分の店でのレコーディング、ということも関係しているのだと思う。 ここで歌われているのはビリー・ホリデイが歌っていた曲ばかりだそうで、聴き覚えのある有名な曲も多いが、自分が知らない曲も含め、一気に聴ける。 そういった曲が、一言一言、丁寧に歌われている。 何でも、ちょっと発音がおかしかったら、その度に録り直していたそうだから。 という訳で、このアルバムをすっかり気に入っていて、こういうのだったらもっとヴォーカルものも聴いてみたいなと思っているところだ。 それとやっぱり、これを踏まえた上で、もう一度ライブが見たい。 と、思っていたら、今月の初めに東京でライブがあった、というのを今日知ってとても悔しい思いをしている。 でも、今月26日に情熱大陸で放映されるらしいので、とりあえずそれを見ておこう。 |
![]() Steve Kimock Band 08/21/05 State Bridge Lodge - Bond, CO 再び、コロラド州ボンドでのショー。 長年セカンド・ギタリストを務めたミッチ・スタインの最後の演奏は、この5日後のカナダでのショーだが、アメリカ国内では実質的にこの日が最後。 この日は3セット。 まず最初に、キモックのみのアコースティックによる演奏。 最初、通勤時に聴いていて、正直言うと途中で少しだれたのだが、改めて部屋でスピーカーから流れてくる音を聴いていたら少し印象が変わった。 たらたらと気持ちの良い音が続く。 ちょっとジョン・フェイヒーを思わせる、というのはたぶん気のせい。 最後には、リード・マティスのベースが加ってちょっと雰囲気が変わり、お互いに挑むような展開もあって面白い。 続く、エレクトリック・セット。 アコースティック・セットの延長のような雰囲気で"Cowboy"で始まり、キモックのスライドが良い"While We Wait"と、演奏される機会が比較的少なく、ダークな雰囲気の"Incantation"へと続く。 再びのどかな雰囲気へ戻り、"Kissin' The Boo Boo"。 そして、次に"Cole's Law > Tangled Hangers"とおなじみの展開へ行く訳だが、この日一番印象に残ったのがここ。 "Cole's Law"は、いつ聴いても良いのだが、ムーキー・シーゲルのピアノが控え目ながら効果的で、より一層この曲の良さを引き立てている。 いつかスタジオ・アルバムの為にレコーディングしてくれないだろうかと思っている曲。 ファーストセットの最後が、"Malichi"。 この曲が演奏され始めたのが、たしか2004年の来日が発表になった前後くらいだったと思う。 自分自身、ちょうどSKBにはまり出した頃だったし、とても印象深く、好きな曲。 ベーシストが交代したせいか、また少し表情が変わって来ていて面白い。 そして、エレクトリックの2セット目。 ここでは、いつもの通りの演奏が繰り広げられ、もちろんどれも素晴らしいのだけれど、特に印象深いのが最後の"In Reply > Hillbillies"の後だ。 しばらくミッチへの声援、「ムーーース!」の声が鳴り止まず、その模様が5分くらいに渡って収録されている。 これがなかなか感動的。 当日、本人の少し涙ぐむ姿も見られたそうだ。 アンコールでは、"Arf, She Cried"とミッチ&ロドニーのHermanators時代の曲で締めというのもなかなか憎い演出だ。 キモックとミッチのコンビネーションが聴けなくなるのは残念だという気持ちもあるし、新しいフォーマットでのSKBも面白いからそれはそれで嬉しいし、なかなか複雑なところ。 ミッチの活動が今どうなっているのか日本まで伝わってこないのが残念だが、Steve Kimock & Friendsの方にでも顔を出してくれると嬉しいなと思う。 また数年後にでもバンドに戻ってくれればなお嬉しいのだけれど。 あのTシャツで。 残念ながらアコースティック・セットなしだけど、Live Music Archiveにもあります。 |
![]() Ornette Coleman Dancing In Your Head 73年のモロッコのジャジューカでの録音と、76年にパリでの録音を収録したアルバム。 以前のエントリーでもちょっと触れたと思うが、このアルバムは10年ほど前、会津若松に住む友人宅で聴かされたのが最初だった。 その時がオーネット・コールマン初体験。 その時のインパクトがかなりのもので、帰ったら絶対買おう、と思い続けて早10年...。 何度か手に取ったことはあったのだけれど、たいした理由もなく、途中ジャズをあまり聴かなくなった時期もあったりして、何となく聴きそびれていたアルバム。 今月末にこの人のライブを見に行くので、予習、にはならないと思うが、景気付け(?)に購入してみた。 久しぶりに耳にした印象は、以前と同じくなかなか強烈。 さすがに細かいところまでとはいかないが、曲も憶えているし。 でも、以前は変態的なファンクという印象が強かったのだけれど、改めて聴いてみると、たしかに間違ってはいないと思うが、そこまで強くファンクを感じなかった。 聴きようによっては悪ふざけとも取れる狂った演奏だが、何やら楽し気だ。 実際、聴いていて、楽しい。 そういう意味では、本来のジャズらしいジャズの延長線上にある音楽と言ってもいいのかなと思う。 アルバート・アイラーは、まだ1枚しか聴いていてない 3曲目の73年ジャジューカ録音の"Midnight Sunrise"は初めて聴いたのだけれど、これもまた、楽しい曲。 この盤には、この曲の別テイクが入っていて、一聴した感じ、こちらの方が少し狂った雰囲気が強いかも。 聴いていると頭がグニャグニャになりそうなのだが、3、4分と短い曲なので、10~20分くらいあると嬉しい。 聴くたびにいろいろ気付きそうで、楽しみなアルバム。 通勤の時に朝から聴いてみるのも良いかも。 そういえば、最近はどんなことやっているのか全然知らないのだけれど、とりあえずライブで確認してこよう。 |
![]() Massacre Meltdown 2001年のライブアルバム。 ドラムが、フレッド・メイヤーからThis Heatのチャールズ・ヘイワードに代わっている。 去年、たまたまCD屋のワゴンセールで1000円で売っていたのを見つけ、こんなアルバムが出てたなんてまったく知らなかったのだけど、悩んだ末、試しに買ったみたもの。 そして、なかなかの掘り出し物だった一枚。 このとき一緒に買ったヘンリー・カイザーとジム・オルークによるアルバム このアルバムも、同じくきつい内容も想定していたのだけれど、いい意味で裏切られた形となった。 このアルバムと同じメンバーによる前作"Funny Valentine" 約20年も経っているのだから、当然といえば当然だけれども。 ここでもやはりビル・ラズウェルのベースに驚かされた。 エフェクターを使い分け、歪ませて弾きまくったり、ダブになったりと、"Killing Time"の時以上に変幻自在。 でも、それ以上に驚かされたのが、チャールズ・ヘイワードのドラム。 この人の関わった作品では、This Heatのファーストアルバム ちゃんと叩ける人、と言っては失礼だが、かなり実力のある人なんだと認識を改めた。 フレッド・フリスのギターについては、以前のアルバムと印象が変わらないが、必然性の無さそうな音を積み重ね、ここまで説得力のある音に仕上げているのは感心するばかり。 何なんでしょう、この人は。 もちろん好みの分かれるところだし、興味の無い者にとっては、面白くも何ともないギターなのだろうが。 "Killing Time"に比べればインパクトは弱いし、影響力も少ないとは思うが、なかなかスリリングな演奏が楽しめるので、結構好きなアルバム。 今聴くなら、意外とこちらの方が気楽に楽しめるような気もするし。 |
![]() Steve Kimock Band 08/20/05 State Bridge Lodge - Bond, CO 数日前のエントリーの翌日のショー。 コロラド州のアスペンから同じくボンドへ移動。 と言ってもどこなのかさっぱり分からないのだけれど、とりあえず。 この日、まず渋めな"High & Lonsome"から始まる。 静かめな前半から、後半への盛り上がりが良い。 続く"Green"、キモックのギターが良いのはもちろんのこと、ここではリード・マティスがなかなか良いベース・ソロを聴かせる。 SKBでは基本的に抑えめなプレイなのだけれど、ひたすらボトムに徹することの多かった前任のレオ・トラヴァルーサに比べれば、時々、おっ!と思わせてくれる。 マティスの本業であるJacob Fred Jazz Odysseyは以前に少し聴いたことがあるのだけれど、たまたま聴いた音源がもう一つな感じでそれ以来聴いていない。 でも、最近少しまた興味が出てきているところ。 で、なかなか本題に入らない、長い"Samba?"に続く軽快な"Papago"。 結構久しぶりに聴いたような気がするが、この日のファーストセットでは、これか1曲目の"High & Lonesome"が個人的にはベスト。 ソロのところが、また少し変わって来ていて面白い。 そして、これまた長い"Elmer's Revenge"、コンパクトな"Bouncer"にて前半終了。 セカンドセットは、"Five B4 Funk"で幕を開ける。 ギターソロ、キーボードソロに入るところの転調が何やら新鮮だ。 "Electric Wildlife"と"Many Rivers To Cross"を挟んでの"Dr.Zaius"。 この2曲では、ミッチが活躍。 特に"Dr.Zaius"は、ギタ-2本の絡みが面白く、最近のギターとキーボードという組み合わせでは少しばかり物足りない曲。 そして、ファンキーな"Thing One"では、キモックのソロの後ろで鳴るミッチのカッティングが効いている。 そして、最後に"Tongue 'n' Groove"。 この曲も、わりと久しぶりに聴いたような印象があるが、いつ聴いてもいい曲だ。 いろいろと好きな曲はあるけれど、個人的には一番好きかも。 全体的には、セットリスト的にも、やや控え目な印象もあるし、前日に比べるとミッチのフィーチャー度も抑えめか。 でも、"Green"や"Many Rivers"など古めの曲を挟んだり、控え目ながらバランスが良くて、こういう日の演奏も結構好きだ。 ロバート・ウォルターは、Greyboy Allstarsでツアーに出ているようだし、SKBの次のラインナップはどうなるのだろう。 ミッチに代わるセカンド・ギタリストが入ることはあるんだろうか、なんて考えながら聴いていた。 それはそれで聴いてみたいが。 この日の音源、Live Music Arciveにもあります。 |
![]() Massacre Killing Time 81年リリース。 Henry Cow解散後ニューヨークに渡ったフレッド・フリス、ビル・ラズウェル、当時まだ10代だったフレッド・メイヤーのオリジナル・メンバーによる唯一のアルバム。 以前から噂には聞いていたのだが、たしか2、3年前に友人から聴かされたのが最初だ。 その時のインパクトが凄くて、何だこれは?と思ったのと、ビル・ラズウェルってこんなベースを弾ける人なんだ?とビル・ラズウェルとその周辺の音楽やニュー・ヨークのアヴァンギャルドな音楽をあまり聴いてこなかった自分にはとても新鮮に感じられた。 ただ、CDは何度か再発されていたものの、ちょうど手に入りにくい時期だったこともあって、ようやくこのアルバムを手に入れたのが去年のこと、最初にインパクトを受けた時から少し時間が経ってしまったせいなのか、期待したほどはまらなかったのが正直なところ。 いや、もちろんかっこいいんだけど。 そんな入手困難で、それほど探し回ったりはしなかったけど、たまたま運良く手に入ったこのアルバムが、去年の年末にあっさりと再発された。 しかも、日本盤まで。 本当なら既に持っているから買い直す必要はないのだけれど、リマスターもされているし、ライブ・トラックがボーナスとして収録されているから、ということで購入してみた。 不思議なことにオリジナルとは違い、レコードでいえばA面とB面の1曲目にあたる曲の前のそれぞれ短めのライブ・トラックが収録されているが、その意図はよく分からない。 でも、それは別としても、やはり刺激的な音であることには変わらない。自分が聴いて来た狭い範囲で言えば、Sonic Youth等のニュー・ヨークのシーンはもちろん、ワシントンDCを拠点とするディスコードの連中、FugaziやFaraquet等も少なからず影響を受けているんじゃないだろうか。 その他、自分の知らない、もっといろいろな方面に影響を与えたのだろうことは想像できる。 今日、電車の中で聴いていて、リマスター前のこのアルバムもiPodに入れっぱなしだったので、どのくらい音が違うのだろうかと気まぐれに聴き比べてみた。 すると、音質自体はびっくりするような違いは感じられなかったものの、はっきりと分かるくらいピッチが違った。 今回リリースされた盤の方が、ピッチが低く、スピードが遅い。 なぜだろうと不思議に思っていたら、今回のリマスターではスピードとピッチを修正してリヴァーブが除いてある、とちゃんとライナーに書いてあり、これが本来の演奏らしい。 でも、今回の盤の方がやや落ち着いて聴こえ、インパクトは以前の盤の方があるような気がするが、どうだろう。 敢えて聴き比べなければ気付かなかった程度のものではあるのだけれど。 あともう1つ、これもライナーで触れられているのだが、ボーナス・トラックが、ちょっとアルバム本編とトーンが違い、やや違和感がある。 もちろん面白いし、貴重な音源には違いないのだけれど。 ボーナス・トラックも単純に嬉しい場合もあるし、今回のように嬉しいけどアルバムとして考えると...、というのもあるし、なかなか難しいところだ。 まあ、敢えて買い直してみていろいろと発見があったので、とりあえずよしとしましょう。 |
![]() Howard Wales & Jerry Garcia Hooteroll? Grateful Deadの"American Beauty" 最近、毎度お世話になっているこちらのヴァインで、"01/26/72 Symphony Hall - Boston, MA"のショーの音源を聴いたばかり。 それまでは、ハワード・ウェールズについては意識したことがなかった、というか知らなかった。 このアルバムも、そういえばジャケットを見たことがあるな、というくらいで特別意識したことはない。 ところが、そのライブ音源がなかなか面白く、72年といえばGrateful Deadとしてはヨーロッパへツアー 先に聴いたライブ音源の方は、なかなかアグレッシブな感じだ。 ジャズ・ファンクだったり、実験的な感じの曲もある。 ジェリーのギターも間違いなくそれと分かる音なのだけれど、Grateful Deadの時と少しばかり雰囲気が違う。 何も知らずに聴いていたら、似てるなとは思いつつも気付かないかも。 そして、全編に漂っているのがブリティッシュな雰囲気。 もちろんアメリカを感じられる部分もあるのだけれど、かなりブリティッシュなのでは?と思ってより興味が湧いた。 で、2003年に再発されたくせに既に入手困難気味になっている(※)このアルバムが安く売っているのを見つけたので、買ってみた。 果たしてスタジオアルバムではどうかな?と少しばかり不安もあったのだけれど、これがなかなか良い。 購入先には「Grateful Deadのレア・グルーヴ」なんて書かれていたのだが、まさにそんな感じでB級感漂うジャズ・ファンク(褒め言葉)がかなりかっこいい。 マーティン・フィエロのフルートも聴けるし、アルバム全体のホーン・アレンジもフィエロの手によるものだそうだ。 そして、やっぱりブリティッシュな雰囲気。 曲によっては、特に静かな曲では、Caravanみたいだったり、Camelみたいだったり。 言い過ぎかもしれないが、コード進行とかちょっとカンタベリーな感じさえする。 ライブの方では、たまにソウルフルなヴォーカルが入る曲もあったからそこまで感じなかったのかもしれない。 ハワード・ウェールズという人についての情報があまりないので分からないのだが、もしかしてイギリスの人なんだろうか、と勝手に想像した。 このアルバムもまた、知らずに聴いたらジェリー・ガルシアが関わっているとは気付かないかもしれない。 上記のライブ音源は、ここから申し込めば、なかなか面白いものが聴けると思います。 ※国内盤 |
![]() Konono N°1 Congotronics 活動歴25年にもなるというコンゴのグループの2005年にリリースされたアルバム。 産業廃棄物や織機を利用して作ったジャンク楽器、エレクトリック・カリンバ(※)、ドラムなどを使って演奏されているそうだ。 リリースはベルギーのレーベルからで、日本ではジェシー・ハリスの"Mineral" このレーベルのことはもちろん、エレクトリック・カリンバは、ちょっと前にキモックがライブで使っていたし、音楽的にも人脈的にも何の繋がりもないけれど、自分の好きなものとたまたま繋がったのが面白い。 それはさておき、これがなかなか強烈。 アフリカの音楽についてはまったくと言っていいほど知識がないので、歴史的なこととか、地域的な違いとか分からないし、これが伝統的な音楽に基づいたものなのか、大衆的な音楽に基づいたものなのかも分からないのだけれど、単純に曲だけを取り出せば、自分なりに勝手に思い描いているアフリカ的な音楽という印象。 それが、前述のような楽器を使い、さらに歪んだ音で表現されることで独特の雰囲気を生み出している。 陳腐な言い方をすれば、人力トランスとかそんな風にも言われてしまうのだろうけど、たしかに目をつぶって聴いているとかなり意識が持って行かれる音だ。 複雑なリズムの重なり合いの上で、歪んだカリンバの音が素晴らしいアクセントになっている。 生で聴いたら、さぞかし凄いのだろうと想像できる。 なんて思っていたら、8月の終わりから9月の初めにかけて日本でもツアーを行うようだ。 できれば生で体験してみたいな、と思っているところ。 ※カリンバは、国、地域のよって呼び名が違うそうで、コンゴでは「リケンベ」と呼ぶそうな。 参考:http://kalimba.hp.infoseek.co.jp/af-kali.html |
![]() Steve Kimock Band 08/19/05 Belly Up - Aspen, CO 昨年8月、ベースにリード・マティス、キーボードにムーキー・シーゲルを迎えて行われたツアーの中の1つ。 ミッチが最後の参加となったツアーでもある。 ミッチが最後と聞き、もの凄く残念がっていたくせにまだその時期の音源を1つも聴いていなかったのだが、8月の19、20、21日の3日間は凄くいいとmkさんから教えられ、さっそくDigitalsoundboard.netより購入した、のが今年の年が明けたばかりの頃で、しばらく放置してあったのをやっと聴いた。 そして、これがまた、1曲目の"Ice Cream"から素晴らしい演奏を聴かせてくれ、なぜもっと早く聴かなかったのかと後悔。 ミッチ最後のツアーということだからなのか、特にファースト・セットでは心なしかいつもよりミッチのギターがフィーチャーされているような気がする。 観客の"ムーーーース!"の声援もいつもより大きめ? "The Fakers Luck"、"Weapons Of Moose Destruction"あたりのミッチのギターは聴きもの。 セカンド・セットでは38分にも及ぶ、と言っても途中完全に違う曲になっているが、"It's Up To You"、続いて17分にも及ぶ"A New Africa"と聴き応えあり。 "Twinstar"では、キモックのスライドが心地よい。 Setlist.comの投票では、妙に評判の悪い、現ラインナップも面白いと思うし、実際好きなのだけれど、こうしてミッチ在籍時の音源を聴いてしまうと、やっぱりキモックとのギターのコンビネーションが面白いなと感じてしまう。 キモックのソロの時やキモックがスライドを弾いている時、ミッチのアルペジオやカッティングの気持ち良さ、そしてもちろんキモックとは違う雰囲気を持ったミッチのソロも楽曲にメリハリを付ける。 また、いつか一緒に演奏するのを聴けたらいいなと思う。 とりあえず、今は去年の8月のツアーの音源を片っ端から聴きたくなっている。 が、ちょっと抑えて少しずつ...。 |
![]() ![]() Sun Ra And His Outer Space Arkestra Nuclear War 82年にレコーディングされ、84年にリリースされたアルバム。 もちろん、前回のエントリーの原曲が収録されたもの。 82年当時、コロンビア・レコーズに売り込んだが受け入れられず、Pop GroupやSlitsなどニュー・ウェーブの作品をリリースしていたYレコーズから、まず1曲目の"Nuclear War"と4曲目の"Sometimes I'm Happy"のカップリングで12インチとしてリリース、アルバムとしてはその後84年にリリースされたという経緯がある、というのを今まで読んでいなかったライナーを読んでみて知った。 ちなみに左側が82年の12インチのジャケット、右側が84年のアルバムのジャケットだ。 2003年にサン・ラー没後10年記念として日本でも再発され、その時に買ったものだが、その時のジャケットは左側。 裏側に2曲しかクレジットされていないので不思議に思っていたのだが、上記のような理由であることをやはりライナーを読んで知り、少しすっきりした。 それはさておき。 この作品のことを知ったのは、あまりはっきり覚えていないのだけれど、クラブ方面から注目され、雑誌などで紹介されたとかそういうことで何となく知っていたのだと思う。 かなり以前にベスト・アルバムを買って聴いたはいたものの、あまり魅力が分からないままでいたのだが、その再発の時に別のアルバム 聴く前には、この「核戦争」という重い題材をどう表現しているのか、まったく訳の分からないことになっているのだろうか、などいろいろ想像していた。 が、実際聴いてみると、ゆるいファンクぶりに拍子抜けした。 悲壮感と言うか絶望感のようなものも感じられのだが、同時にユーモラスな印象も受ける。 シリアスになり過ぎないとても黒人音楽らしいものだ。 「核戦争はくそったれだ」とか「奴らがボタンを押せば、ケツが吹っ飛ぶ」だとかそういった歌詞(たぶん)が彼ら自身が普段使っているであろう言葉で歌われている、というのも大きいと思う。 そういったことを抜きにしても単純にかっこ良い曲でもある。 で、他の曲はと言うとちょっとモンドな雰囲気が漂う曲もあるけれど、デューク・エリントンのカヴァーだとか、ジャズ・ヴォーカルの入る曲だとか、まともなビッグ・バンド・ジャズ風なものが多い。 だから、タイトル曲の"Nuclear War"はアルバムの中でも異色なものだし、浮いてしまっている。 でも、まともであればあるほど、何を考えているのか分からないように感じられるし、そこがサン・ラーの面白いところでもあるのかも。 膨大な作品の中でほんの数枚聴いただけなので、まだまだ分からないことだらけなのだけれど。 |
![]() Yo La Tengo Nuclear War 2002年にリリースされたEP。 これは、サン・ラーの名曲"Nuclear War" 面白そうだなと思いながらもずっと聴き逃していた。 リリースされた当時はまだ原曲も聴いたことがなく、噂に聴いていた程度だけだったのだけれど、ようやく去年その原曲を聴き、Yo La Tengoがどうアレンジしているのかより一層興味を持っていた。 そして、つい先日このバンドのちょっと面白そうなライブ音源を見つけた。 それは、去年の年末12月28日にSun Ra Arkestraのメンバーが数人参加したショー。 当然、この"Nuclear War"も演奏しているので、ダウンロードして聴いてみたのだ。 でも、"Nuclear War"以外のYo La Tengoの曲でもArkestraのメンバーがホーンで参加しているのだけれど、こういう音にもホーンは合うんだなと思えるところと、これなら入れない方がいいんじゃない?というところと半々くらいな感じのものだった。 1、2度曲を聴かされただけでリハーサルもあまりしていないか、もしかすると曲知らないままその場で適当に入れてるか。 ちょっと期待が大きすぎたのか、"Painful" 肝心の"Nuclear War"も。 そこで、改めて前から聴いてみたかったこのEPをさっそく注文してみた。 ここには4つのヴァージョンが収録されている。 まず1つ目は、ドラムとパーカッションだけの演奏にヴォーカルが乗るというシンプルなもの。 原曲のダラダラした感じを継承しつつ、もっとテンポは速い。 2つ目は、ベースにエフェクトをかけたと思われる効果音と子供達(?)によるコーラスが加わる。 子供達に思いっきり、"Motherfucker"とか歌わせている。 3つ目は、ドラムの他、ティンパニーとさっきとは違うコーラスが入り、途中からサックスなどホーンが入る。 このヴァージョンは、15分にも及び、雰囲気から何から一番いい。 ホーンは、やっぱりArkestraのメンバーによるものと思われるが、未確認。 4つ目は、2つ目のヴァージョンを下地としたリミックスなのだけれど、ここで意外な名前を見つける。 それは、マイク・ラッド! Company Flowとも関係の深い、ヒップホップ&ポエトリー・リーディングのアーティスト。 これがなかなか面白い人選で、このカヴァー集のコンセプトと雰囲気に合ったリミックスになっていると思う。 正直言うと、ノイジーなギターが絡むことを期待していたのだけれど、それは見事に裏切られた。 でも、このEP自体は意欲的だし、なかなか面白い。 ライブ、もう一回聴いてみようかな。 気が向いたらだけど。 |
![]() Walter Bishop Jr. Speak Low この人といえば、これ、というくらい代表的な61年のアルバム(らしい)。 ベースにジミー・ギャリソン、ドラムにG.T.ホーガンを迎えたピアノ・トリオ。 これは、7、8年前だったか、時期は忘れたがかなり以前に内容もよく分からず買ったものだ。 中古盤だったので少し安かったのと、ジャケットを見て何となく、というごく単純な理由にからだったと思う。 でも、その当時、多分ジャズを聴き始めてそれほど経っていない頃だったと思うが、ピアノ中心のものがどうもよく分からず、このアルバムも数回聴いただけに終わっていた。 他にもビル・エヴァンスの"Portrait In Jazz" それが、ここ数年、多分キース・ジャレットを聴くようになった辺りから、その苦手意識が薄れていたことに加え、最近では縁あってシダー・ウォルトンなんかも聴くようになったこともあり、ピアノにも注目するようになっている。 だから、このアルバムやビル・エヴァンスのアルバムも今なら気に入るんじゃないかと思っていたので、タイミングを計っていた、訳ではないが、久々に聴いてみた。 で、これが思った通り素晴らしく、とても楽しめる。 少々荒っぽいところもあるのだけれど、それがいい味になっているし、勢いがある。 ギャリソンのベースがまたかっこよくて、ベース好きとしては嬉しい限りだ。 そういえば、この人はブラック・ジャズにもアルバムを1枚 93年には"Speak Low Again" ライナーにはこの"Speak Low"を超える作品がない、なんてことも書いてあるのだが。 でも、その代表的なこの1枚が、現在入手困難というのが残念...。 |
![]() Moistboyz Moistboyz Ween絡みでもう1つ持っていたのを忘れていた。 Weenの片割れ、ディーン・ウィーンによるサイド・ユニットの94年作の6曲入りのEP。 Beastie Boysのグランド・ロイヤルからリリースされたこともあってか、たしか変態ヒップホップ・ユニットだとかハードコアだとか紹介されていたような憶えがあるが、全然そんなことはなくて、Weenでも時々登場するメタル風なものだ。 当時は、そういった音にうんざりしていたこともあって、全然面白く感じられず、ほとんど聴いていなかった。 だから、再び聴く前にはつまんないんだろうなと思っていた。 が、今になって聴いてみると、あまりにバカバカしく、なかなかいける。 メタルだけじゃなくて、Black Flagだとかそういったアメリカのパンクの影響なんかも感じられるし。 興味なかったから、まったく知らなかったのだけれど、この後3枚もアルバム出していたとは。 検索してみたら、このEPは次のアルバムとのカップリングでリリース もしかして、Black Flagの"My War" だとしたら、ちょっと聴いてみたいが。 でも、Weenの方が先かな...。 |