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![]() Robert Wyatt Shleep 97年のアルバム。 1つ前のアルバム ロバート・ワイアットのソロ名義の作品を初めて聴いたのはこのアルバムだった。 プログレが好きだった時期もあったし、Soft Machineもかじった程度ではあったけれど、少しは聴いていて、その後もそれなりに興味は持っていたが、ソロ作についてはそれまで聴く機会もなく、興味を持ったこともなかった。 このアルバムに興味を持ったのは、リリースされた97年当時、雑誌などでもやたらと取り上げられていたし、この人のファンであることを公言するミュージシャンも多くて、何となく聴いてみようかな、くらいの気持ちだった記憶がある。 最初の印象は、それまでには聴いて来なかった類いの音楽だったことや、当然の如く、Soft Machineとはまったく異なる音楽性だったこともあり、少々どう聴いたら良いのか困惑するような感じだった。 でも、何度か聴いているうちにロバート・ワイアットの声が気になるようになってきて、その上、何となく好きな曲もできたので、わりと心地よく聴けるようになったのだ。 ゲストにはフィル・マンザネラ、ブライアン・イーノ、ポール・ウェラーなど、そうそうたるミュージシャンが名を連ねているけれど、個人的にはどの人もあまり馴染みがない人達なので、どこにそれぞれの色が出ているのか、正直分からない。 けれど、この声がある限り、誰が参加しようが、多分、ロバート・ワイアットの作品にしかなり得ないような気がするし、このアルバムもうそういう性質のものなんではないかと思う。 ただ、再発されたアルバムも何枚か買ったし、今のところの最新作に当る"Cuckooland" でも、久しぶりにこのアルバムを聴いてみて、やはりこの声には非常に惹かれるし、ほのかに漂うジャズ・テイストやいろいろな要素が滲み出ているところ、風変わりなコード進行など、以前よりも自然に楽しめているような気がする。 以前から好きだった曲というのは5曲目の"Free Will And Testment"だが、今聴いてもやはり良い。 この曲、クレジットを見て少し驚いたのが、作曲にクレイマーが加わっている。 まあ、デヴィッド・アレンともアルバムを作っているし、Gong名義で来日、と言っても結局デヴィッド・アレンが来れずにクレイマーのライブになってしまったのだけれど、その時にはヒュー・ホッパーもバンドに加わっていたりして、その辺りの人脈とは繋がりがあるから、今思うと不思議なことでもないか。 それはともかくとして、とても好きな曲であることには変わりはない。 この人に関しては、その程度のファン(と言っていいのかどうか)なのだが、でも、一度は動くところを見てみたいと思っている、数少ないミュージシャンの一人でもある。 少なくとも、これを機に他のアルバムも改めて聴き直してみようかと思う。 以前よりは、もっと楽しめそうだし。 スポンサーサイト
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![]() Archie Shepp The Way Ahead 68年のアルバム。 アーチー・シェップの作品については、このアルバムを聴く以前には、"Attica Blues" そして、3、4年前だったか、たまたま時間潰しに立ち寄った、とあるCD屋のジャズ・クラシック専門店でこのアルバムを見つけ、購入。 "Attica Blues"のようなアルバムではないことは何となく雰囲気で分かったものの、内容についての知識はまったくないまま、普段利用していたCD屋ではこのジャケットを見かけたことはなかったし、何となくこのジャケットが気になったから、という単純な理由で。 でも、買ったその頃には、これっぽっちも面白いと思わず、数回聴いたのみ。 その頃、ジャズへの興味が少し薄れていたということもあったが、これについてはどこが良いのかさっぱり分からなかった。 "Attica Blues"の方はかなり気に入っていたアルバムなのだが、このアルバムを聴いてしまったおかげで、それ以降、他のアルバムを聴いてみたいという気もすっかり失せてしまっていた。 で、特に理由もなく、このアルバムをずいぶんと久しぶりに聴いてみた。 まずは、朝の通勤時、電車の中で。 朝から、というがまずかったのかもしれないが、以前よりは抵抗を持たなかったものの、やはり途中で段々と垂れ流されて行くような感じに聴こえてしまった。 なんだか全体的に中途半端だし、やっぱりこれはその程度なのか?という印象。 で、帰宅してから、改めて部屋で聴いている。 メンバーをチェックしてみたら、シェップの他、トランペットにジミー・オウエンス、トロンボーンにグラシャン・モンカーIII世、ピアノにウォルター・デイビスJr.、ベースにロン・カーター、ドラムにビーヴァー・ハリスとロイ・ヘインズが2曲ずつ。 このうち知っているのはカーターとヘインズのみ、名前だけ知っているのがデイビスとモンカー。 ロン・カーターが少し意外。 そして、これが不思議なことに朝聴いていたときよりも少し面白く感じた。 この変化がなんなのかよく分からないが、もう少し辛抱して聴くべきアルバムだったのか。 ただ、例えば1曲目がなかなか良い感じなのだが、これからという所でフェイドアウトしてしまったり、やや中途半端な感は否めず。 詰めが甘い、とまでは言わないが、こういう部分の印象が少し悪かったのかも。 それと、こういう音を聴いた時、どこかでコルトレーンのような音符過多なサックスを求めてしまっているような気がする。 それは、こちらの問題ではあるけれど。 このアルバムが、一般的にどんな評価を受けているのかなど、未だにまったく知らないのだが、なんとなくシェップの作品の中でも、この手の音楽の中でも、傑作という訳ではなさそう。 でも、シェップの他のアルバムを聴いてみようか、という気が起こるほどには楽しめた。 ようやく。 |
![]() Miles Davis Dark Magus: Live At Carnegie Hall 74年3月30日、カーネギー・ホールでのライブを収めた2枚組。 少し前に69年から70年あたりを集中的に聴き、そのもう少し前にはアコースティック時代を聴いていたのだが、最近、急にこの辺りが聴きたくなってしまった。 なんだか、周期的にこういう繰り返しがある。 とは言いつつ、このアルバムを初めて聴いたのは去年のことで、まだそれほど聴き込んでいる訳ではない。 多分、衝動的に"Agharta" 濃いのを一遍に手に入れてしまうと度々こういうことが起こる。 そのどれもが、気分が乗らなければ聴く気にならない類いのものばかりだし。 強いていえば、多分、70年前後くらいの方が好きだ。 やっぱりデイブ・ホランドとジャック・デショネットの組み合わせが気に入っているし、あのジャズともロックともつかない感じが好きなのだと思う。 でも、この74~75年あたりの全員一丸となって奈落の底に落ちて行くような雰囲気も捨て難い魅力がある。 デジョネットのドラムではこういう感じにはならないだろうし、ここではアル・フォスターである必要があったのだと思う。 それは、他のどのパートにも言えること。 特にデイブ・リーブマンの存在感、ピート・コージーの狂いっぷりは凄い。 マイルスのトランペットについては、この頃になるとそれはもういろんな意味でスリリング。 時々、聴いていて辛かったりもするが。 もっと元気な時だったら、こんなに自身のオルガンを多用することもなかったのではないかと思うと同時に、また全然違う雰囲気のものが出来上がっていたのではないかと想像する。 どちらが良いのか、それは分からないけれど、トランペットをあまり吹かずとも、どう聴いてもマイルスの音楽であるし、そこにいるだけで自分の音楽を作ってしまうという意味では、やはり希有な存在なのだと思う。 いろいろと調べてみると、アルバム中1曲のみ参加のエイゾー・ローレンスのサックスが今ひとつなんて声があちこちで聞かれるのだが、ここではそんなこと些末なことでまったく気にならない。 まあ、聴き込みが足りず、単にまだ区別がついていないということもあるけれど。 こうなるとこの勢いに乗って、"Aghrta"、"Pangaea"まで行ってみようかという今日この頃。 |
![]() Beck Stereopathetic Soulmanure 94年、"Mellow Gold" クレジットを見ると88年から93年にレコーディングされた曲を集めたものらしい。 買ったのは94年当時だが、漠然とインディーズ時代の作品としか知らなかった。 今、改めて知った次第。 たしか同じ頃にもう1枚、10インチのレコードも出てたような気がする。 買おうかどうしようか、迷った所までの記憶はあるのだけれど、結局買ったのかを憶えていない。 何となく、買ってない気がする。 こんなものを久しぶりに聴いてみる気になったのは、先日"One Foot In The Grave" 加えて、このアルバムが出た当時、ロウファイだのなんだのをそれなりに聴いていて、こういう音には全然抵抗はなかったものの、このアルバムに関してはそれほど面白いとは思わなかったので、今聴いたらどうだろうというのもあったし。 で、いろいろと気付いた。 フォーク、ブルース風な曲、パンクっぽい曲、コラージュ、曲の体裁をなしてない曲(?)などなど、いろいろなタイプの曲、アイデアが詰め込まれている。 中には、"Mellow Gold"や"One Foot In The Grave"に収録されていてもおかしくないような良い曲やトム・ウェイツがやりそうな曲もあって、それらはなかなかの収穫。 その他の曲もそれはそれなりに面白く。 やっていることは、ルー・バーロウ/Sebadohあたりとほとんど一緒だ。 でも、ひとつ違うのが声などに凄く華があること。 これは、今だからそう感じるのかもしれないが、やっぱり今のような地位(?)にはなるべくしてなったのかなとも思う。 こういうのもベックの一面であることも間違いないのだけれど。 18曲目の"Ozzy"という曲は、バカバカしくていつ聴いても笑える。 やっぱりあのオジーのことなんだろうか。 だとしたら、かなりおちょくっているように聴こえるが。 でもまあ、万人向けではないし、そう繰り返し聴きたい作品ではないけれど、気に入った曲を目当てにたまに聴いてみるのも面白いかも。 という、そんな1枚。 |
![]() Mari Nakamura Traveler And Stranger 2002年にリリースされた自主制作のCD-R。 ライブ会場のみでの販売ということで、先週の土曜日、渋谷7th Floorにて購入。 値段も500円と非常に安価だし、昔で言ったらデモテープの販売のような感じ? でも、手作り感を漂わせつつも、CD-Rとは言え、非常にちゃんとしたパッケージなので、非常にお得な気分だ。 内容の方はと言うと、"Seeds To Grow" だからなのか、よりストレートで力強く感じる。 詳しくクレジットされていないので、どういう形でレコーディングされたものなのか分からない上、ちゃんとしたレコーディングによって作られた"Seeds~"の方と比較するのもどうかと思うが、音質面でも当然ストレートで、声の質感はこちらの方がより生々しく、自然に聴こえる気がする。 個人的には、この質感は結構好きだ。 ただし、ストレートな曲が多いものだから、10曲で約40分ほどの収録時間ながら、若干中だるみがあるのも確かで、音質面でも、楽曲面でも、アレンジ面でも完成度は"Seeds~"に軍配が上がる、のは当然か。 そんな中、特に気に入っているのが1曲目の"Stranger"。 この曲の素朴な感じが、とても良い。 "Seeds~"のような質感で聴いてみたい気もするが、これはこの音質だからこそ、という気もする。 この曲、ライブで聴いてみたい。 非常に残念なのが、このCD-R、自分のCDプレーヤーでは半分くらいの曲がまともに聴くことができない。 CD-Rが普及する前のモデルだからというのもあると思うが、自分で焼いたCD-Rではそういうことは少ないし、ちょうど1年前に修理したばかりだから、単に相性の問題なのか。 もちろん、iPodに入れてあるのでちゃんと全曲聴くことはできるのだけれど。 それはさておき、このアルバムでは、とてもフォーキーな面が表れているが、これがライブとなるとブルージーになったりするのが面白い。 それともライブも毎回雰囲気が違ったりするんだろうか。 まだ1回しか観たことないのでよく分からない。 いずれにしろ、さらに今後に期待。 |
![]() Tina Brooks True Blue 60年のアルバム。 多分、ジャズ・ファン以外には決して良く知られているとは言えないこのアルバムのジャケットを、少しに前に集中して雑誌やネットで見かけ、ブルーノート関連の本でも何となく印象に残っていたこともあって、こりゃ聴けってことだ、と思って購入。 ジャケットも良いし。 メンバーは、トランペットにフレディー・ハバード、ピアノにデューク・ジョーダン、ベースにサム・ジョーンズ、ドラムにアート・テイラー、と主役のティナ・ブルックスがテナー・サックス。 この人のことはあまり良く知らないのだけれど、どうやら若くして亡くなったようで、リーダー作も決して多いとは言えず、ブルーノートではこのアルバムともう1枚、レコーディング当時には未発表に終わったという"Back To The Tracks" という訳で、特別な思い入れや期待もなく、軽い気持ちで聴いてみたが、これが凄く良い。 正確にいえばまったく期待がなかった訳ではないけれど、それほど大きなものではなかったので、その分こういう良い作品にあたったときの喜びは大きい。 音はまさにハードバップな感じで、ぶっとくブルージー。 きっと当時としては、新しい流れの中にあった1枚なのだろうけれど、そこまではまだ分からず。 ティナ・ブルックスのサックスも非常に印象的なのだが、同じく耳をひくのがハバードのトランペット。 この2人を引き合わせたのが、ある本によるとアイク・ケベックだそうだ。 そんな関係で、番号で言えばこのアルバムの1つ前に当るハバードのデビュー作、"Open Sesame" ハバードのトランペットを聴くといつもハッとさせられるのだが、よくよく考えてみると興味はありながら未だ90年代のアルバム ブルックスの未発表だったアルバムの方もどうやら評判がよろしいようなので、そっちもぜひ。 という感じで、長く楽しめそうな1枚でした。 |
![]() Mari Nakamura 07/22/06 7th Floor - Shibuya, Tokyo, Japan アルバム"Seeds To Grow" 7th Floorというライブ・ハウスは初めてで、どこ?と思ったらO-Westの7階だった。 だから、"7th Floor"なのね。 あの界隈へ行ったのも久しぶりで、2年前のキモックの来日の時以来だ。 スタート時間ギリギリの7時半頃に到着。 席はほとんど埋まっていて座る所はなかったけれど、立ち見でも快適に観ることができるほどの入り。 しばらくするとご本人登場。 見た目、普通のお嬢さんといった感じで、その辺ですれ違っても気付かないかも。 それが、ギターを弾き歌い出すと別人のようだ。 どっからあんな声が出てるのか。 声もギターもほとんどアルバム通り。 いや、アルバムよりもっと自然な感じで、あの好みの分かれそうな癖のある声ももっと自然に聴くことができるので、ライブを観たら印象変わる人もいるのでは。 CDではとてもフォーキーな雰囲気なのだが、ライブで聴くとこれが予想以上にブルースっぽい。 何となく歌い方の謎(?)が解けたというか、ルーツのひとつを垣間見ることができた気分だ。 加えて、ギターがもの凄くうまい。 いや、もううまいとかヘタだとかそんなことじゃなくて、ごくごく自然に、流れるよう感じで、音色もとても良い。 思わず聴き入ってしまう。 途中、数曲でもう一人ギターが加わり、スライドを弾いていたが、曲によってはとても良く、曲によっては別になくてもいいんじゃない?といった具合か。 個人的には、ゲスト無しでも良かった。 でも、バンド無しの弾き語りのライブを観たいと思っていたので、とても満足。 実はライブの直前まで、ライブにご一緒したHKさん宅で昼間からビールを飲んでダラダラしていて、それはそれでとても楽しかったので、どうする?行く?やめる?、なんて会話をしていて、半分行くのをやめようかなんて気分になっていたのだが、行った甲斐がありました。 帰り際には、ライブ会場のみで販売しているCD-Rをもちろん購入。 目的のひとつでもあったし。 てな訳で、また観に行こうと思う。 |
![]() Beck One Foot In The Grave 94年リリースのアルバム。 同じく94年にリリースされた"Mellow Gold" 同時期に3枚くらい出てたような憶えがあるが。 このアルバムは、Beat Happening、Dub Narcotic Sound Systemのカルヴィン・ジョンソンのレーベル、Kからのリリース。 "Mellow Gold"は、メジャーからリリースされ、しかもあれだけヒットした作品の中ではかなり手作り感漂うアルバムだったけれど、こちらはそれ以上。 "Loser"のようなヒップホップ風な曲もなく、テクノロジーの力を借りていない、フォーク、カントリー、ブルースなどルーツがむき出しな感じだ。 そして、非常に地味。 あまりに地味なものだから、最初は印象が薄かったのだが、何となく聴き続けるうちになんだか妙に心地よくなったアルバムだ。 最近ではあまりベックに興味がなくなってしまったので、新しめのアルバムは聴いたことがないけれど、少なくとも聴いたことがある作品の中では、多分、このアルバムが一番好きだと思う。 このダラダラとした感じが、何ともたまらなく、今日は何となく気分がだらけていたのでピッタリとはまる。 クレジットによれば、レコーディングはカルヴィン・ジョンソンのによって行われているようだが、アルバム中2曲ほどこの人が歌っている。 久しぶりにこの人の声を聴いたが、やっぱり存在感のある(?)何とも言えない声だ。 このどこから出ているのかと思う低音声、初めてBeat Happeningのアルバム 受け付けない人は、まったくダメだろうけど。 ついでにBeat Happeningでも聴いてみようか。 やる気が起きない時にはピッタリな1枚。 |
![]() Grant Green Grantstand 61年の3枚目のアルバム。 というのを以前、"Sunday Mornin'" よくよく確認してみたら、"Sunday~"が61年6月、こちらが同年8月の録音。 でも、"Sunday~"が4099番、こちらが4086番ということで発売順序としてはこっちが先だったらしい。 必ずしも番号順にリリースされていた訳ではないようだけれど、10以上も離れているということは、多分番号順にリリースされたのだと思う。 だから、このアルバムは、リリース順では3枚目、レコーディング順では4枚目ということになる。 ややこしい。 45年も経ってしまった今聴くにはどちらが先でもあまり関係ないと思うが、当時はそれ相応な意味を持っていたのだろう。 少なくともアルフレッド・ライオンの中では。 ということで、このアルバム。 当時のグラント・グリーンは、ジャック・マクダフのバンドに所属していたそうで、このアルバムではそのジャック・マクダフがオルガンに、アル・ヘアウッドがドラム、加えてユセフ・ラティーフがテナー&フルートで参加。 これがもう、1曲目のタイトル曲"Grantstand"から飛ばす、飛ばす。 さすがに同じバンドで演奏していただけあって、マクダフとの息もピッタリだし、冒頭から非常にグラントらしいギターが堪能できる。 マクダフの方も、誰のリーダー作だろうと、そんなことはお構い無しに弾きまくり。 オルガンはもちろんだが、ベースラインが気持ちいいことこの上ない。 ユセフ・ラティーフの堂々としたサックスもギターととても相性が良いと思う。 何となく、楽器は違えど雰囲気が似ているような気がするのだが、気のせいか。 その他、しっとりした"My Funny Valentine"、のどかな感じの"Blues In Maude's Flat"など、曲の雰囲気もバラエティに富んでいて、とても良いアルバムだと思う。 聴き応えあり。 ユセフ・ラティーフの本名がビル・エヴァンスであることは、きっとジャズを聴いている人の間ではよく知られていることなのだろうと思う。 そのことを本を読んで知った時、あのピアニストのビル・エヴァンスではないことはすぐに分かったのだけれど、てっきりマイルスのバンドに参加していたサックスのエヴァンスのことだと思っていた。 でも、どうやらそれとも別人らしいことが最近分かって、どちらのエヴァンスのこともあまり知らないが、冷静に考えてみれば年齢とか合いそうもないし、当然のことだ。 加えて、ギル・エヴァンスなんて人もいたりして、これまたややこしい。 と、そんなことはおいといて、このユセフ・ラティーフことビル・エヴァンスさん、少し調べてみたらなかなか面白そうな活動をしていたようで、ちょっと興味が湧いてきた。 まだ、あまり情報がないので、もうちょい調べてみたい。 という訳で、こちらが正真正銘の今月分、8月号でした。 順当に行けば、来月はこれ 早く聴きたい、モザンビーク。 |
![]() Matthew Sweet Altered Beast 93年の4枚目のアルバム。 マシュー.スイートを聴いたのは前作"Girlfriend" その"Girlfriend"は、90年代に最も良く聴いた、そして影響を受けた作品をいくつか挙げるなら、必ず入れるほど好きなアルバムだ。(参照) だから、このアルバムがリリースされる時には、かなり期待が大きかったような記憶がある。 でも、その期待に反して、それほど入り込めなかったアルバムでもある。 その理由は、音。 もともとこの人は、打ち込みを使ったポップ・ソングをやっていて、生ドラムを導入したのが"Girlfriend"から。 で、その路線が気に入ったのか、このアルバムでは更にそれが押し進められていて、よりロック度の高い楽曲と音作りになっている。 でも、どうも音が中途半端にジャリジャリしていて、その上固い。 しかも、CD目一杯に曲が入っているものだから、通して聴くと疲れるし、なんだか本来そんなタイプの人じゃないのに無理してロックっぽく振る舞っているようにも聴こえ、少し違和感も覚えた。 力加減としては、"Girlfriend"がちょうど良いのだ。 でも。 曲が良い。 本当に良い曲が多く、今聴いてもなかなかグッと来るものがある。 "Someone To Pull The Trigger"だとか、"Falling"辺りは特に、無条件で好きな感じ。 それに、一昨年の年末頃、Velvet Crushのメンバーを従えて行ったライブの音源を聴いたのだが、このアルバムの中の、特にロック色の強い曲が非常にライブ映えして、とても良いのだ。 ヴォーカルもなかなか安定感あるし。 それ以来、意外と今聴いたらいいんじゃないかと気になっていて、ようやく久々に聴いてみた訳だが、やはり音は今ひとつ、でも曲は好き、という複雑な気分になるアルバムだ。 どうせならもっとチープな方が好きなんだけど。 でも、一応曲の良さの方を優先しておきたい。 ああ、惜しい。 ライナーを読んでみたら、前作同様、リチャード・ロイドにロバート・クイン、Velvet Crushのリック・メンクが参加。 加えて、リチャード・ヘルのバンドにいた人やエルビス・コステロのバンドにいた人など、よくは知らないがそんな人達。 ちょっと驚いたのが、ニッキー・ホプキンスが3曲ほどピアノを弾いている。 改めてチェックしてみると、いろいろと気付くこともあって面白い。 ボーナス・トラックにはButthole Surfers風な曲が入っていることを思い出し、なかなか懐かしかったりもする。 ほんと、惜しい。 |
![]() Grant Green First Session ブルーノートでの初セッションを収めたアルバム。 本当は、先月これを取り上げるつもりだったのだけれど、海外の業者に注文したら、到着まで1ヶ月以上かかった挙げ句、新品を買ったにもかかわらず、ケースは割れてるは、ジャケットは色褪せてるはでちょっとがっかり。 でも、一応まだ7月中ということで、7月号。 で、このアルバム。 60年11月16日、とクレジットに書いてあるが、正しくは26日(らしいです)に行われた、ブルーノートにおける初セッションから5曲、翌61年10月27日のセッションから1曲2テイクが収録されている。 そして、リアルタイムではリリースされることなく、クレジットによれば2001年に世に出たものだ。 ディスコグラフィー目当てで買った、2000年に出た「ジャズ批評グラント・グリーン大全集」にはこのアルバムは掲載されていないと思ったので、多分それで正しいのだろうと思う。 ファーストアルバムである"Grant's First Stand" ファーストアルバムのタイトル曲となる"Grant's First Stand"は、そのファーストアルバムには収録されず、このアルバムに。 グラント・グリーン以外のメンバーは、ピアノにウィントン・ケリー、ベースにポール・チェンバース、ドラムにフィリー・ジョー・ジョーンズ、61年の方が、ピアノにソニー・クラーク、ベースがブッチ・ウォーレン(でいいのかな?)、ドラムがビリー・ヒギンズ。 と、いうことをチェックしないまま数回聴いていた。 これがなかなか良い演奏。 ファーストセッションの方はリラックスしたムードがとても良い。 特にウィントン・ケリーのピアノが良くて、曲によってはグラントのギターよりも印象に残っているかも。 もちろん、ギターの演奏もとても良くて、グラント・グリーンはもう最初からグラント・グリーンであったことがよく分かる。 61年の方は"Woody 'N' You"が2テイクだけなのでちょっと判断しかねるが、決して悪い出来ではないと思う。 ソニー・クラークとの共演は、あの2枚組のアルバム でも、なぜかどちらもお蔵入り。 そんな感じで、思っていた以上になかなか楽しめるアルバムなのだが、このファースト・セッションがなぜリリースされなかったのかなと考えながら、ファーストアルバム"Grant's First Stand"を続けて聴いてみた。 すると1曲目から、オルガンとの相性が良いのか、ギターの演奏だけを聴いてみてもこのファースト・セッションよりも勢いを感じるし、やはり作品としてのインパクトはずっと上。 きっと他のレーベルだったら、このファーストセッションの方をそのままリリースしたかもしれないし、別にジャズのアルバムとしたら決して悪い出来はないと思うのだけれど、もしかしたらその後のグラント・グリーンに対する評価も違ったものになっていたのかな、と素人考えではあるが、そんなことを感じたりもした。 やっぱりそこがブルーノート、アルフレッド・ライオンたる所以なんだろうか。 ところで、グラント・グリーンと言えば、こんなの どうやら中身は71年のライブらしい。 とりあえず、行っときましょう。 |
![]() Syd Barrett Opel 88年にリリースされた未発表曲&アウトテイク集。 ちょうどシド・バレットにどっぷりと浸っていた頃に発売されたアルバムなので、ナイス・タイミングだった、と言いたいところだが、このアルバムに収録された未発表曲はどれも大抵のブートレッグに収録されているものばかりで、既に何枚かブートレッグを聴いていたため、当時あまり新鮮味はなかった。 良い点と言えば、オフィシャルなので多少音がいいのと、ジャケットが良いくらいか。 ここで聴けるのは、"The Madcup Laughs" 当然、その2作のような完成度(と言っていいのかどうか)ではないし、正直、それほどよく聴いていた訳でもない。 ただし、だからといって内容は決して悪くはないと思う。 Pink Floyd以降のシド・バレットがダメ、という人にとっては何の価値もないのかもしれないが、未発表曲については、このアルバムのタイトルでもある"Opel"を筆頭に非常にシド・バレットらしく、どれも興味深い曲ばかり。 このアルバムを買った当時は、あまりの生々しさに入り込むには多少時間がかかったものの、しばらくするとやはり聴き入ってしまう作品になった。 欲を言えば、これらの曲が完成したところを聴いてみたいというのもあるが、このままだからこそ魅力があると言う気もする。 この人の場合、何を持って完成とするのか、よく分からないけど、そんな気持ちが半々くらいだ。 シド・バレットをよく聴いていた頃は、まだCDプレーヤーを持っていなくて、買っていたのはレコード。 で、CDの方は、その後93年にリリースされたボックス・セット だから、ここ数日連続で取り上げた3枚のアルバムは、そのボックスセット。 このボックス、パッケージのデザインがあまり良くないので、買おうかどうしようか迷ったのだけれど、各アルバムにそれぞれボーナストラックとして、この"Opel"に収録されたもの以外のアウトテイクがたくさん収録されていて、それが決め手となり購入した憶えがある。 結局、これらのアウトテイクが結構長くダラダラと続くので、当時はあまり楽しめなかったのだが。 ただ、ここ数日、久しぶりにそれらの曲も聴いてみたのだが、ずっと聴いているとクラクラしてきて、ちょっと癖になる感じだ。 同じ曲でもかなりのテイクを録音していたようで、精神的に不安定でも、アイデアに溢れていたのか、自然に湧き出てくるのか、それともその両方か、いろいろと想像を巡らしながら面白く聴くことができ、同時に録音に関わった人達の苦労が、僅かではあるが何となく見えてくるのも興味深い。 どうせならアウトテイクだけ分けて、4枚組のボックスにしてくれれば良かったのにと思う。 70年の"Barrett"の後、すっかり音楽活動をやめてしまったのかと思っていたのだが、いろいろと検索して、その後もバンドを組んでいたことを知った。 Pink Fairiesなどなど、イギリスのサイケ・シーンのいろいろなバンドに参加していたドラマーのトゥインクなどと組んだスターズというバンドがそれで、デモ・テープやライブの音源などがある、という話もあるらしいが。 完成度は望めないけど、聴くことができるなら、聴いてみたい。 ちょっと不謹慎ながら、死をきっかけに集大成のようなボックセットでも出ないだろうか、なんて考えたりもする。 思いっきり便乗丸出しではあるが、そんなのが出たら多分買ってしまうだろう。 そして、もしそんな物をリリースするなら、そのくらいの発掘を期待したいところだ。 |
![]() Syd Barrett Barrett 前作同様、70年にリリースされた2枚目のソロ・アルバム。 そして、シド・バレットの実質的なラスト・アルバムでもある。 Pink Floydの結成が65年だそうだから、ミュージシャンとしての活動期間はたった5年ほど。 前回、ちょこっと触れた通り、まずPink Floydのファースト・アルバム 特に理由はなく、たまたまレコード屋にこのアルバムが置いてあったからというだけなのだが。 何かレコードやCDを最初に聴いた時にどういう感想を持ったのか、大抵は憶えているのだけれど、このアルバムに関してはどういう訳かあまり憶えていない。 気付いたら毎日のように聴くようになっていて、前作"The Madcup Laughs" 前作の虚ろな雰囲気と、こちらのアルバムの、この何ともいえない寂し気な孤独感、どちらも捨て難い魅力がある。 まったくと言っていいほど雰囲気の異なるこれら2枚のアルバム、いずれもロジャー・ウォータースやデビッド・ギルモアのプロデュースなくして完成しなかったものだが、昨日、今日、と久しぶりに聴いてみて、ぼんやりとプロディースの違いを楽しんでみたりもした。 一般的(?)には前作の方が評価が高いようだが、個人的にどちらが好きかと言えば、どちらも同じくらい好きだ。 ただ、聴いた頻度で言えば、このセカンド・アルバムの方が多かったような気がする。 と、前回の感傷ついでにこっちのアルバムも聴いてみた訳だが、この聴く側の精神状態を選びそうな、寂し気な雰囲気がやっぱり良い。 朝から聴くタイプの音楽ではないと思うけど、結構そういうの平気なので、朝から浸ってました。 |
![]() Syd Barrett The Madcap Laughs 今朝、新聞を眺めていたら、まさか新聞で見かけるとは思っていなかった名前が目に飛び込んできて少し驚いた。 今は、ネットでいろいろ伝わるのが早いから、既に知っている人はたくさんいると思うけれど、シド・バレットが亡くなったそうだ。 最近は、滅多に聴いたりはないのだが、今までそれなりにいろいろ聴いて来た中で、特に影響を受けたアーティスト、バンドなどをいくつか挙げるとすれば、必ずこの人の名前が挙げるくらい、一時どっぷりとはまっていたことがある。 でも、自分の好きな/好きだったアーティスの死というものに対して、実はそれほど感傷的な気持ちみたいなのはあまり持ってなくて、例えば海外までお墓参りに行った人の体験談をどこかで読んだとして、凄いなと思うし、ある意味尊敬するけれども、自分はそういう方には情熱を注いだことはなく、そのつもりもないことをいつも確認したりする。 だから、今回の死亡記事を読んでも、悲しいとはそれほど思わなかったし、実際、それほど自分の生活に影響のあることではないように思う。 ただ、この人の場合、何となくいたたまれない、少しだけ複雑な気分になった。 そんなこともあって、別に追悼文とかそんなつもりもないのだけれど、久しぶりに聴いてみたくなったので。 で、そのシド・バレットの70年の1枚目のソロ・アルバム。 まず、友人から聴かせてもらったPink Floydから入った。 その頃は、ちょうどロジャー・ウォータース抜きで来日した頃で、Pink Floydの70年代の代表的なアルバムを中心に結構熱心に聴いていたのだが、ある時、地元の中古レコード店でアメリカ市場向けにファースト・アルバム でも、その後のPink Floydの音とはまったく違うので、全然良さが分からず、数回聴いたのみ。 そして、よくあることだが、その1、2年後、気まぐれに聴いてみたら、これが凄く良くて、みるみるうちにはまって行き、それまであまり興味を持っていなかったシド・バレットまで辿り着いたのだ。 最初に聴いたのはこのアルバムではなく、次の"Barrett" そして、順当に(?)シド・バレットの虜になり、このアルバムへ遡る。 このアルバムは、なんと表現していいものか。 人によっては、暗いだとかつまらんだとか、その程度の感想しか持たないかもしれないが。 とにかくこの雰囲気は、他では聴くことのできないものだと思う。 おかしなコード進行や、明らかに後から加えたことの分かるソフト・マシーンの面々による演奏だとか、偶然であるような、必然であるような。 この人が健康な精神の持ち主であったとしたら、才能があった人なので良い作品を作っていたかもしれないが、ここまで自分がどっぷりと浸かっていたかどうか。 もう長いこと、新しいものを生み出せる状態になかった人なので、音楽的な意味での喪失感みたいなことは感じないが、気付いたら結構長くダラダラと書いているので、案外、感傷的になってるんだろうか。 少なくともそれくらい思い入れがあることだけは確かで、結局言いたいのは、この人の音楽が好きです、ということだけなんだけど。 もちろん、亡くなってしまったことについては、素直に残念に思う。 安らかに眠ってください、とか月並みな言葉しか浮かびませんが。 |
![]() Steve Kimock Band 11/25/01 Bay Hall - Yokohama, Japan SKB初来日の最終日。 2001年11月22日が渋谷のOn Air East(現O-East)、24日が名古屋Bottomline、そして25日がこの横浜Bay Hallでのライブ。 何回か前のエントリーで取り上げた2枚組のアルバム"East Meets West"のところでも触れた通り、同アルバムのディスク2はこの日の演奏から5曲収録されている。 これも前にどこかで書いたと思うが、この2001年当時、スティーブ・キモックという名前すら知らず、当然この場にはいなかった。 でも、初来日を観た人の評判を聞くと、やはりこのベイ・ホールのライブは思い出深いそうで、ほんとうらやましい限り。 この日のライブは本当に長い。 トータルで3時間半ほど、セットブレイクなどを入れれば短く見積もってもたぶん4時間近く。 現在でも1曲の演奏時間は10分から15分くらいと長いのは確かだが、20分を超える演奏は意外と少ない。 でも、この日のセットリストを見ると、20分から25分になる曲が4曲もあり、しかも最近のセットリストよりも曲数が多いから、相当なものだったのだろう。 アンコールの"You're The One"も20分くらいなのだが、多分この場にいたら電車の時間を気にしながら観ていたのではないだろうか。 自分にとってSKB初体験となった2004年の来日の時、どの日も10時きっかりに終わるという感じでだったので、とにかく長いと聞いていたから少し拍子抜けしたことを覚えている。 友人から聞いた話では、この頃のミッチはまだキモックの方をチラチラと見ながら演奏していたそうだ。 だから、2本のギターのコンビネーションという点ではその後に比べればまだ完成されてないけれど、見せ場も多く、やっぱり良いギタリストだなと思う。 いつかまた一緒にやる日が来ることを祈るばかりだ。 "You're The One"でのソロ、熱い。 気になった点をいくつか。 "Sabertooth"では、ベースラインが良い。 この来日時のベーシストは、リチャード・ハモンド。 この曲に関していえば、歴代のベーシストの中ではこの人のベースラインが一番好きだ。 mikionさん曰く、この日の"Ice Cream"は抹茶風味。 でも、そのつもりで聴いてみたけど、そこまで感じ取れず。 まだまだ、修行が足りないようです。 でも、好きな曲だし、この日の演奏も凄く良い。 この曲は、"East Meets West"でも聴ける。 後は、いつものことながら、"Tongue 'N' Groove"が最高。 1曲目というのもポイント高い。 こういう曲でライブをスタートできるバンドって、意外と少ないのではないだろうか。 と、なんだかまとまりがなくなってしまったが、とにかく、この日は良いです。 生で観たかった。 |
![]() Brand New Heavies Heavy Rhyme Experience: Vol.1 92年のセカンド・アルバム。 10組のヒップホップ・グループ、アーティストをゲストに迎えた企画盤。 この頃、ロック以外の音楽にも少し目が向き始め、そんな時にちょっと面白そうだなと思ったのが、ヒップホップと少し話題になっていたアシッド・ジャズ等、クラブ・ミュージックの類い。 で、こんなアルバムが出たものだから、どちらも興味があるし、試しに聴いてみるか、ということで買ってみたものだ。 でも、アシッド・ジャズに関しては、その頃の自分にとってはなんだか中途半端な音楽に聴こえ、あまりのめり込むことができなかったので、このBrand New Heaviesのその他の作品については、気になりながらも結局手を出すことはなく、未だ聴いたことがない。 それとは対照的に、この後ヒップホップに徐々にのめり込むことになり、一時はロックをほとんど聴かず、ヒップホップ中心に聴いていたほど。 今になって思うと、そのスタートになったのがこのアルバム。 という奴も多分珍しいが。 だから、カテゴリーは"Hiphop"に。 当時は、ここに参加しているアーティストについては、ほとんど誰が誰だか分からない状態で聴いていたのだが、今改めてその名前をチェックしてみると、なかなか渋めの人選であることがよく分かる。 最近、ひっそりと(?)アルバムが再発 当時も、頭から3曲目までに当るこの3組は普通に楽しんでいた憶えがある。 続く、マスター・エースは、先の3組比べれば貫禄はないが、まあ実力のある人なのでそれなりに。 落ち着きのないジャマルスキー、よく聴いてた頃、凄く好きだっただが、今聴いてもやっぱり面白い。 早口ラガマフィンが爽快。 自身のアルバム クール・G・ラップ、この人嫌いじゃないけど、ここでは少し無理してるように聴こえるが。 あんまりこういうのに向いてないような。 次、Black Sheep、この人達、はまり過ぎ。 久しぶりに聴いてみて、一番見直したのこの曲かも。 Ed O.G.は、このアルバムに参加していたことさえ忘れていたけど、ストレートで良いね、この人のラップ。 久しぶりにアルバム聴いてみたくなった。 次は、ダミ声ラガのタイガーだが、なぜこの人が選ばれたのか、今ひとつ分からない。 別に聴いてられないほどひどい訳ではないけど、一番面白みに欠けるのがこの曲だったが、今聴いてもやっぱりそうだった。 最後、当時、このアルバムの中で一番好きだったのがPharcydeが参加した曲。 この頃、まだレコード・デビュー前で、勢いがあってとても好きだった。 でも、Pharcyde側はこの曲の出来が気に入らなかったらしい。 スケジュールの都合で、別録りだったのでグルーヴが今ひとつ、だとか、本当は参加したくなかったけど、自分たちの名前を売るために参加した、だとか結構ボロクソ言っていた記憶がある。 その後、自分たちのファースト・アルバム 聴く側にとってみれば、本人達が思っているほどひどい出来だとは思えないのだが。 と、それはさておき、今聴いても意外と面白かったこのアルバム。 実験的なところもあるので、曲によっては少し中途半端に感じるところもあるが、意欲作だと思う。 好みの問題ではあるが、1つ難点をいえば、少しベースの音が野暮ったいことか。 でも、このアルバム、多分、製作にあたっては相当苦労したのだろうと思う。 "Vol.1"と銘打っておきながら、"Vol.2"以降リリースされていないし、Pharcydeの発言からも少しそれは窺える。 このアルバムとは関係ないけど、ジョン・スペンサーがリミックスを頼んだ時 まあ、いろいろあるのでしょう。 この盤には、Brand New Heaviesのみのインストの曲が3曲、ボーナス・トラックとして収録されている。 当時も、別に嫌いな訳ではなかったのだが、今だったらもっと楽しめるんじゃないか、という期待が少しあった。 でも、それほど印象変わらず。 やっぱりアシッド・ジャズは、自分にとっては今ひとつなのか。 たった3曲だけで判断するのもどうかと思うが。 |
![]() Tamba Trio Tamba Trio 75年のアルバム。 98年に"Tamba Trio '75"というタイトルで再発されたこともあるらしいが、これは前回の"Black Plus Blue" ジャケットの色から、通称"Blue Tamba"と呼ばれるそうで、Dear Heart盤のタイトルは"@ Blue"になっている。 でも、CDの盤面には"Tamba Trio '75"と印刷してあり、なんだかややこしい。 ちなみにリンク先のアマゾンで扱っているのは、Dear Heart盤ではなくUK盤で、"24bit remastered"と書いてあるから、このDear Heart盤が元になっているのか。 このアルバムも"Black Plus Blue"同様、Dear Heart盤だし、面白そうだからとりあえず買っておけ、と思って買ったもの。 そして、"Black~"同様、あまり聴いてなかった。 やはり、もう少し素のブラジル音楽を期待していたため、そういった音楽が下地になってはいるものの、75年当時の同時代的な音楽の要素がかなり盛り込まれていたので、あまり入り込めなかったのだと思う。 で、やはり"Black~"同様、今聴いてみるとこれもまた心地よく、面白い。 "Black~"ほどマニアックな展開はなく、こちらのアルバムの方が一般的に言って聴きやすい部類に入るのかも。 このアルバムで惹かれたのがヴォーカル。 3人のメンバーのうち誰だか分からないのだけれど、時々リードを取るボソボソと歌う声が良い。 少しジョアン・ジルベルトを思わせるような。 以前、もう少し聴き込んでいてこの声に気付いていたら、もう少しのめり込んでいたかもしれない。 派手さはないけど、つい聴き入ってしまうアルバムだ。 このグループ、作品自体それほど多くないらしいので、とりあえず手に入りやすいのでも何か聴いてみたいと思っているところ。 以前はどう違うのか知らなかったのだが、メンバーが少し異なり、そこにギターを加えたTamba 4なんて名義のもあるし、今になって興味が出て来た。 ブラジル、奥深そう。 |
![]() Tamba Trio Black Plus Blue 74年の"Tamba"という、ジャケットの色から通称"Black Tamba"と呼ばれるアルバムに、翌75年のこれもジャケットの色から"Blue Tamba"と呼ばれている、"Tamba Trio" ジョアン・ジルベルトの来日に深く関わっているDear Heatが2001年にリリースしたものだ。 例によって、このグループのことはなんにも知らず、CD屋でたまたま見つけ、帯に書いてある「幻の名盤」の文字に釣られて購入した記憶がある。 同じくDear Heartがリマスターしてリリースしていたジョアンのアルバム"Joao Gilberto" で、これが期待していたのと全然違う音で、当時は数回聴いたのみ。 確かにブラジルの音楽らしさは漂っているものの、なんでこうなるの?という訳の分からない展開に突入したり、これはこれで面白いとは思ったのだけれど、結局魅力を理解するには至らなかった。 そして、これがまた、今になって冷静に聴いてみると、本当に面白い音だなと思う。 ブラジルらしさ、サンバだとかボサノヴァだとかを感じさせつつ、ジャズ、フュージョン、それもどちらかと言えば暗い音、時にはこれはプログレか?とさえ思わせる、いろんなものが混ざった音だ。 そういえばブラジルってプログレも結構盛んなんだよね、ってことを思い出させてくれる。 実際に音は聴いたことがないけれど。 バンド名の由来になっているのが、メンバーのエルシオ・ミリートが考案した「タンバ」というオリジナルの楽器だそうで、それが一体どんな姿をしていて、どの音がそうなのか、さっぱり分からないのだが、音を聴く限り、トリオとは思えない、とても広がりがある、完成された音楽だと思う。 ライナーによれば、どうやらこのアルバムはわりと異色な部類に入るそうで、このアルバムに関していえば、けっこう実験的なマニアックな雰囲気もあるけれど。 このアルバム、ちょっと調べてみた限りでは、どうやら今ではまた手に入り難いらしい。 凄く面白いと思うんだけど。 Dear Heartの方も、ジョアンの最初の来日以降、サイトの更新も止まっているし、一体どうなっているのやら。 とりあえず、このアルバムが面白いことに気付けただけで、良しとしとこう。 |
![]() Djavan A Voz - Ao Violao - A Musica De Djavan 76年のファースト・アルバム。 この盤は、97年にリリースされたもので、帯には「幻のデビュー・アルバム日本初登場」と書いてあるので、手に入り難い作品だったのだろうか。 買ったのは多分、その2、3年後、CD屋の「メーカーにも在庫がないのでこれが最後」というコピーに踊らされたのだ。 もちろん、試聴してみて気に入ったからでもあるのだけれど。 このジャヴァンというアーティストのことは、その時に名前を知ったのだが、未だによく知らない。 どうやらMPBの中では代表的な一人であること、日本でも人気の高い人であること、そんな程度だ。 だから、聴いたことがあるのもこのアルバム1枚のみ。 エレピとフルートが印象的な1曲目、"Flor De Lis"。 CD屋で試聴した時、この曲のイントロを数十秒聴いただけで、購入を決めた。 そのくらいインパクトがあった。 改めてライナーを読んでみたら、この曲はその後も録音され、この人の代表曲でもあるそうだ。 どうりで。 その他の曲も心地の良い曲ばかりで、一度聴くとまた聴きたくなってしまうという、これまた中毒性の高いアルバム。 加えて、この人の声が凄く良い。 ブラジルの音楽は詳しくないし、ほんの数えるほどしか聴いていないのだが、その中で特に気に入っているアルバムはどれも中毒性の高いものばかり。 なぜなんだろうと、少し考えてみると、屈託のない明るさがあって、メロディーもとても新鮮なのだけれど、同時に憂いや影のある感じ、そこが良いみたいだ、自分にとっては。 これも購入時にはろくに読んでいなかったライナーを読んで知ったことだが、このアルバムではプロデューサーの意向で、それまでジャヴァンが書きためていた曲の中から、ボサノヴァ寄りの曲が選曲されているそうだ。 そんなことは知らずに今まで聴いて楽しんでいたのだけれど、気に入ったのにはそういったことが関係があったのかもしれない。 でも、どこかでこういう音のアルバムはこれだけ、というのを読み、そこが引っかかっていて、このアルバムをこれだけ気に入りながらも他の作品に手を出さなかった。 曖昧な記憶だし、何となく今なら聴けそうな気もするのだが。 と同時に、楽曲面では問題なくても音作りの点でちょっと好みから外れそうな、そんな予感もある。 どうなんでしょう。 少なくとも、このアルバムは素晴らしいですが。 |
![]() Altered States 07/06/06 Pit Inn - Shinjuku, Tokyo, Japan 5月にライブを観て、さらにアルバムを聴いてからというもの、すっかり気に入ってしまい、またライブが観たいなと思っていたところ、CD発売記念のライブがあると言うことで、新宿Pit Innへ行ってきた。 定刻8時をちょっと過ぎた辺りにスタート。 アルバム同様、静かでビートのないイントロのような始まり。 なんだかもの凄くこの後を期待させてくれる始まり方。 ドラムの芳垣氏はカリンバを演奏。 ファーストセットは、わりと抽象的な展開が多め、でも、もちろん緩急自在で緊張感溢れる演奏 。 この間の1時間ほどのライブでは、聴くことのできなかったようなところもありの、ぶっ通しの1時間弱。 15分ほどの休憩を挟み、セカンドセットは最初から飛ばして行くような雰囲気。 それでもやはり、緩急自在な、どこからどこまでが決まっていて、どこが即行なのか、まったく窺い知ることのできない世界が繰り広げられる。 セカンドはやや短めで、40分ほどだったか。 で、一度引っ込み、アンコール。 2、30分くらいやるのかと思っていたら、意外とあっさりしていて、10分も演奏していなかったのでは。 前回観たライブでは、内橋氏のギターにすっかりやられたのだが、それは今回も同じ。 日本にも、といっても今は半分ウィーン在住のようだけど、こんな人がいたのかという新鮮な驚き。 ビル・フリゼールやフレッド・フリス的な面白さあり。 この2人を一緒にして良いのかは別として、でも、この2人を並べることで雰囲気が伝わるような気がする。 後は、アルバムの時にも少し書いたが、デビッド・グラブスだとか、そっちの匂い。 変なポスト・ロックと言われるバンドを聴くよりは、遥かに面白いと思う。 でも、今回、思わず聴き入ってしまったのが芳垣氏のドラム。 Rovoだとか、渋さ知らズだとかいろいろなところで活躍する人なので、名前だけは見かけていたのだけれど、本当に凄くて、聴き入るだけでなくて、見入ってしまった。 最近、ジャズなんかを聴いていて、ドラマーの表現力、ということを考えることが多い。 それは、リズム・キープだとか、グルーヴだとかそういう部分ではなくて、空間の活かし方、埋めるにしろ、空けるにしろ、そういうところから生まれる表情の面白さがとても気になる。 もちろんそれは、グルーヴなんかとも密接な関係があったりもするのだけれど。 とにかく、この芳垣氏のドラムは、まさにその面白さがある。 例えば、スティック、バチ、ブラシ、竹ひごを束ねたような感じのもの(に見えた)、などの使い分け、また、スティックを無造作にスネアやタムの上に転がしてみたり。 どこからか金属のプレートやベルなどを取り出しては、これまたスネアの上に転がし、そのまま叩いてみたり、シンバルを逆さまにスネアの上に起き、それをバチで叩いてみたり。 風呂桶の線についている鎖のようなものをシンバルの上で引きずってみたり。 とにかく、一見無駄そうなものがすべて、パーカッションの一部として機能している。 で、気付くとそれらは片付けられていて、普通にドラムを叩いている。 その一連の動きにまったく無駄がなく、実に見事。 この2人の間に入るナスノ氏のベース、凄いし、そう簡単に真似のできることではないんだけど、何となくカッチリはまる時とそうでない時があって、やっぱりこういうバンドでのベースって大変そうだなあ、とかそんなことを考えていた。 とか言いつつ、ベースは気になるので結構注意して聴き入っていたのだけれど。 時々、ヒュー・ホッパーみたいで面白かった。 余談。 内橋さんって誰かに似てるな、とずっと思っていたのだが、突然思い出した。 10数年前だったか、高校時代の友人宅の近所の、その友人がよく飲みに行っていたバーに2人でよく行っていた時期があった。 ある時、そこでその友人と大阪へ遊びに行く相談をしていたら、たまたま横に座っていた人が関西の方で、「たこやきだけはぜひ食べてきて欲しいな」と柔らかい、優しい感じの関西弁で話してくれたことがあった。 その人に顔もしゃべり方も似ていたのだ。 まあ、その1度きりしかあったことない人だから、いい加減な記憶ではあるけれど、ご本人だったら面白い。 中央線沿線だから、意外とありそうな気も...。 それはさておき、今日のライブ、見応え、聴き応えたっぷりで、帰りに思わずCDを1枚買ってしまった。 また、行きます。 |
![]() Steve Kimock Band East Meets West 2002年にリリースされた3枚目のアルバムとなる2枚組のライブ盤。 収録されているのは、前作"Live In Colorado"に収録されたライブ(2002年2月22、23日)より少し遡って、2001年末のライブ。 ディスク1には、2001年のサン・フランシスコでのNew Years Run、12月28日から31の4日間から5曲が選曲され、ディスク2には記念すべき初来日の最終日の11月25日、横浜ベイ・ホールでのライブから5曲が選曲されている。 "Live In Colorado"の時に書いた通り、キモックを知り、聴き始めた頃にこのアルバムも"Live~"と共にまず購入したもの。 どのCDを聴いたら良いかとの問いに、初来日を体験した方からこのアルバムをまず薦められたのだ。 でも、ライブっぽい臨場感はあるものの、"Live~"と比べると音質がちょっと粗く、しかも"Live~"の方をいたく気に入ってしまったせいで、自分の中ではちょっとこのアルバムは陰に隠れてしまっていた感があって、実際、それほど聴き込んでいなかった。 多分、実際にライブを観た上で聴いていたら、まったく印象が違っていたのではないかと思うけれど。 で、改めて聴いてみた。 ディスク1とディスク2を比べると、ディスク2のベイ・ホールでの演奏が好きだ。 日本での演奏だから、という訳ではなく、本当に大雑把な印象だけれど。 サン・フランシスコでのメンバーは、キモック、ミッチ、ロドニーにベースがアルフォンソ・ジョンソン、横浜ではベースがリチャード・ハモンドに変わる。 このリチャード・ハモンドというベーシスト、NYで活動している人、という以外にはどんな活動をしているのか、今何やっているのか、など何も知らない。 その上、SKBへの参加は短期間だったので、派手なプレイはしていないし、おそらく本領発揮には至ったいなかったのではないかと思う。 でも、この人がいた頃の音源をいくつか聴いて、なんとなくクラブ.ミュージックやパンクなんかも通過していそうな、やや破壊的な演奏をする時があって、もっと長く在籍していたら面白くなっていたのではないかなんて印象があって、密かにまた一緒にやってくれないだろうかなんて期待している人なのだ。 そんな気配は微塵もないけど。 もちろんアルフォンソは素晴らしいベーシストだし、ここに収録された曲での演奏も遜色はないのだが、たまにそつのなさを感じてしまう時があって、このアルバムではそれが出てしまっているような気がする。 多分、それは選曲によるものなのだろうと思うが。 そんなこともあって、ディスク2のベイ・ホールの方が印象が良い。 この25日のベイ・ホール、Digitalsoundboard.netでリリースされていて、このアルバムよりもいい音で楽しむことができる。 1曲目が"Tongue 'N' Groove"で始まり、これがまた良いショーなのだが、多分、またそのうち。 ちなみに、Live Music Archivesでは、ここにオーディエンス録音が。 ついでに、12月28日、29日、30日、31日とNew Years Runも全部LMAで揃います。 |
![]() The Charlie Mingus Jazz Workshop Pithecanthropus Erectus 56年のアトランティックでの1枚目のアルバム。 この盤は98年に再発されたもので、買ったのもその頃。 当時、ミンガスに興味を持ち、最初に聴いたがこのアルバムだ。 そして、その後2枚ほど聴いたのだが、最も気に入ったのがこのアルバム。 なんだかよく分からないながらも、このハードボイルドな雰囲気が、とてもかっこよく聴こえた。 で、それは今でも有効。 ここで取り上げるにあたって、改めてライナーを読んでみたり、クレジットを眺めてみたりしたら、56年と録音ということに少し驚かされた。 買った当時は、50年代のジャズがどんなだとか、60年代のジャズがどうだとか、70年代に入るとどうなる、とかそんなことはまったく気にせずに、というよりもまったくもって知らずに聴いていて、もうちょっと後、60年代に入ってからのアルバムだと思い込んでいたらしい。 そういえば、"Mingus Dynasty" それと、今になって分かること。 アレンジが隅々まで行き届いているのがよく分かる。 それに加えて、言葉はあまり好きではないが、まるで軍隊のように統制の取れた演奏。 親方のベースのフレーズの変化を合図にフリーっぽい展開になだれ込むところなど、すべて一音一音、譜面に記されているんじゃないかと思えるほど。 もちろん、実際にはそんなことはなく、個人の力量に任されているのだろうけど。 この雰囲気、ダメな人はダメなんだろうが、思わず聴き入ってしまう。 この人の作品を聴いた時にまず気に入ったのが、輪郭のはっきりとしたぶっといベースだ。 それが、ジャズを聴き始めの頃には最も分かりやすい点でもあったし。 で、最近Sonnyさんのこんな記事を読んだばかりで、この人を知るならピアノも聴いてみたいなと思っている今日この頃。 やっぱり、まずはこの辺 |
![]() Steve Kimock Band Live In Colorado 2002年のセカンドアルバム、ということになるのだろうか。 ともかく、2002年2月22日と23日、コロラド州のそれぞれ、Gothic TheatreとFox Theatreで行われたライブから選曲されたアルバム。 ということを、今までこのアルバムのジャケットに印刷されているクレジットをろくに読んでいなかったので、たった今知った。 ちなみにLive Music Archivesのこことここにどちらの日もオンステージ録音の音源がある、というのも今知ったので、今晩さっそくダウンロードしよう。 と、それは置いといて、スティーブ・キモックというギタリストの存在を知り、CDを買ってみようということで、まず手に入れたのが、このアルバムと"East Meets West、ついでにミッチ&ロドニーによるHermanatorsの"Twisted"というアルバムだった。 そして、その中で気付いたらよく聴いていたのが、このアルバム。 最初は、2本鳴っているギターのどちらがキモックで、どちらがミッチなのかも知らず、いや、ミッチは名前すら知らなかったかもしれない状態で聴いていたのだけれど、Steve Kimock Band、そしてキモック自身に深くのめり込むのにかなり助け(?)になったアルバムだ。 という訳で、その後のアルバムも含め、パッケージ販売された作品の中では一番好きなアルバムでもある。 何が好きかと言うと、まず音質。 ギターの音も、ベースの音も、ドラムの音も、そして楽器間のバランスもすべて良い、と言うよりも好みで、自分の耳には実にしっくり来る音。 ちょっと言葉ではうまく説明できないけれど。 そして、もちろん曲に演奏。 その中でも、1曲目の"Tongue 'N' Groove"。 この曲に注目するようになったのはこのアルバムがきっかけだし、全部聴いた訳ではないが、このアルバムでの演奏が一番好きだと思う。 続く、"Ice Cream"もその後、この曲を聴く度にいいなと思うのは、多分このアルバムでの印象が強いからだ。 "Tangled Hangers"は、"Cole's Law > Tangled Hangers"の流れで演奏されることが多いから、こうして単独で聴くのは、結構新鮮。 この曲が演奏された22日のセットリストを確認してみたら、"Cole's~"とは別々に演奏されていたようだから、この頃はまだパターン化していなかったのだろうか。 それともたまたま? "Hillbillies"、この曲のベースはやっぱりボビー・ヴェガの方が良いかなと少し思うが、アルフォンソ・ジョンソンの演奏も良いし、ライブ映えのする曲。 最後の曲の"Ride Out"、これは"You're The One"のテーマ部分をカットしたもの、ということに気付いたのはかなり経ってからのこと。 単にCDの収録時間のためか、それとも権利関係をクリアするためか、もしくはその両方なのか、理由は分からないが、この曲だけフェイド・イン、フェイド・アウトなのが少し残念。 演奏自体はとても良いのだけれど。 という感じで、1曲づつ何かしらコメントしたくなるほど好きなアルバム。 "Eudemonic" 今の音と、と言ってもSKBとしては活動休止中だけど、雰囲気が違うのでそういう意味でも面白いと思う。 |
![]() Horace Parlan Us Three 60年のホレス・パーラン2枚目のリーダー作。 パーラン、ジョージ・タッカー、アル・ヘアウッドのトリオとしてはこれが初のようだ。 やっぱりパーランの代表作と言えばこれ、ということになるんだろうか。 90年代に大ヒットを飛ばしたブルーノート所属のあのグループ でも、ジャケットについては、90年代にイギリスのFive Thirty 今のところ、ホレス・パーランについては、グラント・グリーンに絡めて"Up And Down" で、さっそく。 1曲目のタイトル曲"Us Three"、もの凄くかっこいい。 タッカーのゴリッとしたベースから始まるイントロから引き込まれる。 この人のベースはとても良いなと思っていたのだけれど、やはり好みの音。 ちょっと他の作品も聴いてみたいなと思ったら、残念ながらこのアルバムの5年後の65年に亡くなってしまったそうなので、どれだけ作品が残されているのか。 でも、ちょっと探してみたい。 そして、続くヘアウッドのブラシがとてもスリリングに曲を盛り立てていて、ゾクッと来る。 そこに乗るパーランのピアノがまた良い。 前述の2作品を聴いた時には、この人のピアノがやや後ろの方で鳴っている印象を受け、トリオだともっと前に出た感じなのかなと思っていたのだけれど、このアルバムでもベースよりもやや後方に鳴っているような感じで、もともとこういうスタイル、バランスの人であることが分かった。 で、最初に聴いた時にはこの曲があまりにかっこ良いものだから、それ以降の曲の印象が薄かったのが正直なところなのだが、そんなはずはないと思って、今日、何度か繰り返して聴いてみているいて、嬉しいことに徐々に印象が変わってきている。 ある1曲があるために名盤とされる作品もあるし、自分自身、時には平均的に良い曲が収められた作品よりも、そういった作品の方に魅力を感じることも実際にあるのは確か。 でも、このアルバム、確かに1曲目のインパクトは強いが、美しい曲はより美しく、楽し気な曲はより楽し気な、この3人の演奏がとても素晴らしいと思う。 何しろ、「僕たち(?)、3人組」と名乗っているくらいだから、そのコンビネーションは見事なもので、何となくこの人達の演奏を楽しむならホーンなどはいらないような気がしてきた。 順番は前後するが、このアルバムの1つ前、ベースがサム・ジョーンズの"Movin' And Groovin'" とても興味がある。 とにかく癖になりそうな、濃いアルバムです。 |
![]() Milton Banana Trio Milton Banana Trio 65年のトリオとしては最初のアルバムらしい。 この盤は98年にリリースされたもので、帯には「日本初CD化」と書いてある。 6、7年前、何回か前のエントリーで取り上げた「ボサノヴァのリズムとサウンド」 でも、その頃、なぜかこのアルバムの方は自分が求めていたものとはまったく違ったものに聴こえ、ほとんど聴かないまま放置してあった。 そんなこのアルバム、きっと今なら楽しめるに違いない、と思って久しぶりに聴いてみたのだが、見事期待に応えてくれた。 62年のライブを収めた「ボサノヴァ~」とは、基本的のそれほどやっていることは変わらないのだけれど、よりジャズ度が高まっていて、洗練された感じ、というよりはアメリカナイズといった方が良いのかもしれないが、とにかくすっきりとした印象がある。 きっと以前は、このすっきり感が物足りなく感じたのだと思う。 そうはいってもやっぱりブラジルの人達、ブラジルの風味が滲み出ている。 一番の違いはリズム感なのだろうか。 ミルトン・バナナのドラムはもちろんのこと、ベースのグァラー、ピアノのヴァンデルレイ、共に素晴らしい演奏。 原曲の倍くらいのスピードはありそうな「イパネマの娘」を始め、セルジオ・メンデスやカルロス・リラの曲などなど、どれも躍動感に満ちている。 ミルトン・バナナも他にどんな作品を残しているのか分からないのだが、ドラマーというパートの性格上、サイドマンとしての仕事の方が多そうだし、作品自体、あまり手に入りやすい状況ではなさそう。 ブラジルのジャズも最近興味津々なのだけれど、全然知らないので、どっから入ったら良いのやら。 という訳で、このアルバムも「ボサノヴァ~」同様、つい聴き入ってしまう、癖になるアルバム、に今日なりました。 |
![]() Andrew Hill Point Of Departure 64年のブルーノートでの4枚目のリーダー作。 ちょっと前から、このアンドリュー・ヒルとサム・リヴァースに興味を持っていた。 先日、サム・リヴァース 加えて、こちらのブログで紹介されていたのを読んだこともきっかけになった。 で、このアルバム。 なんでしょう、この感じ。 最近、以前聴いた時にはよく分からなかったアルバムが、ガラリと印象が変わって好きなアルバムに転じるということが、特にジャズにおいては多く、そうやっていろいろ克服できたから、と言うとちょっと言葉が違うような気がするが、もう大抵のものが来ても大丈夫だろうと思っていた。 でも、まだまだだったらしい。 新たなハードルの出現。 今のところ、まだ捉えどころを探している感じだ。 このアンドリュー・ヒルというピアニストは、セロニアス・モンクと比べられたりしているようだが、聴いた感じ、やっぱり似た印象を持った。 タッチはそれほど似ていないが、音の置き方とか間の開け方とか、かなり独特で、その印象が何となく似ている。 クレジットを読んでみるとこのアルバムでは全曲本人の作曲によるもの。 曲もどこか風変わりで、そういったところも近い。 でも、モンクがひたすら独自の道を行ったのに対し、こちらは独自の道を進みながらも同時代性も兼ね備えているのが、新主流派たる所以か。 参加ミュージシャンによるところも大きいけれど。 その参加ミュージシャンの組み合わせがまた面白くて、ケニー・ドーハム、エリック・ドルフィー、ジョー・ヘンダーソンの3管に、ベースが多分初めて聴くリチャード・デイヴィス、ドラムがトニー・ウィリアムス。 ドーハムもヘンダーソンも存在感があって、素晴らしい演奏。 そして、つい耳を奪われてしまうのが、トニー・ウィリアムスのシンバルの音とドルフィー。 特に1曲目、"Refuge"でのドルフィーのソロ、ピアノソロの後で突然ヌッと現れ、斬り込んでくる。 それぞれの得意とする雰囲気をつぎはぎにし、その後ろでは常にヒルの不思議なピアノが他とは違う時間の流れの中でなっているような、そんな印象。 一見バラバラなようで、ギリギリのところでまとまっている、そんな面白さがある。 このアルバムのレコーディングは、ドルフィーの"Out To Lunch" だからか、何となく雰囲気が似ていて、それはドルフィーの参加が及ぼす影響の大きさも窺えて面白いし、また、"Out To Lunch"ほど徹底的に構築されておらず、その違いがまた面白いと思う。 まだまだよく分からないところがありつつ、このアルバムもそのうちガラリと印象が変わりそうな気もする。 アンドリュー・ヒル、しばらく注目してみます。 |
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