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← 2006年11月 →- 狂気で踊ろう [2006/11/30]
- 踊れる狂気 [2006/11/29]
- ギリギリの線 [2006/11/28]
- ジャケットはちょっと... [2006/11/27]
- 最後なんて言わずに [2006/11/26]
- バーンが怖い [2006/11/25]
- 別人? [2006/11/24]
- ウェザー・リポートのレコードだ [2006/11/23]
- 買わねば [2006/11/22]
- 少しあっさり [2006/11/21]
- 進 [2006/11/20]
- 深 [2006/11/19]
- 別冊グラント・グリーン第5号 [2006/11/18]
- はじめまして [2006/11/17]
- 買いそびれ [2006/11/16]
- 月刊グラントグリーン12月号 [2006/11/15]
- 乗っかってみました [2006/11/14]
- 一応、持ってはいるのですが [2006/11/13]
- 再発しなさいよね [2006/11/12]
- お元気そうで何よりです [2006/11/11]
- ただでさえ濃いのに [2006/11/10]
- 今 [2006/11/08]
- もどかしい [2006/11/07]
- 名人芸の味わい [2006/11/06]
- ややお疲れでしょうか [2006/11/05]
- 予習 [2006/11/04]
- いぶし銀 [2006/11/03]
- クラクラしましょう [2006/11/02]
- 鬼 [2006/11/01]
![]() Easy Star All-Stars 07/13/06 Allgood Music Festival - Maisontown, WV 前回に続き、Easy Star All-Starsによる"Dark Side Of The Moon"のカヴァー。 今度は、アルバムではなく、ちょっと前にbt.etree.orgでダウンロードした、今年の7月に行われたAllgood Music Festivalのライブ音源。 ダウンロードだけしておいて、ずっと放ってあったのだが、ふと思い出し、やっと聴いてみた。 アルバム 先日のAltered Statesのライブとは趣旨が違うので、その辺りは当然といえば当然だけれど、こうしてライブの演奏を聴いてみるとあのスタジオ・アルバムがいかにオリジナルの「狂気」の空気感をうまく再現していたのかよく分かって、改めて良く出来た作品なのだと感心する。 かと言って、このライブがつまらない訳ではなく。 "On The Run"でのドラムン・ベース風味のパートが人力で演奏されていて、ちょっとその辺りが今ひとつだが、それを除けばライブならでは雰囲気が楽しめる。 ソースを見ると"FOB&DFC"ということで、音も良いし。 でも、多分、こうして音源として聴くよりも実際にその場にいた方がずっと楽しめるかなと思うけど。 「狂気」が一通り終わると、誰のためかよく分からないが、なぜかハッピー・バースデーが合唱され、その後、曲名不明の曲が3曲。 でも、これは普通のレゲエ、ダブな感じで、特筆するほどでもない。 悪くはないけど。 で、セットリストを改めて読んでみたら、この音源はセカンド・セットのみ収録されていて、ファースト・セットでは、どうやらRadioheadのアルバムを丸ごとやったらしい。 ダウンロードした時には気付かなかったが、bt.etree.orgのコメント欄を読んでみたら、「Radioheadのはないの?」って質問が多いようだ。 個人的には、どっちでもいいですがね。 スポンサーサイト
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![]() Easy Star All-Stars Dub Side Of The Moon 2003年にリリースされたアルバム。 Easy Star Recordsというレゲエのレーベルのアーティスト達によるPink Floydの"Dark Side Of The Moon" 当然、全曲レゲエ/ダブ・アレンジ。 先日の"Altered States plays Pink Floyd"を見て以来、Pink Floydを久しぶりに聴きたくなっている。 まあ、レコードを出して聴けば良いだけなのだけれど、もうちょっと手軽に聴きたくて、代わりになるのかどうか分からないが、こちらを聴いてみた。 このアルバムを聴くのもわりと久しぶり。 初めて聴いた時も一発で気に入ったこのアルバムだが、久しぶりに聴いても、やはり面白く、気持ちがいい音だ。 アイデア自体、安直と言えば安直だけれど、"On The Run"でのドラムン・ベース風味だとか、原曲での目覚ましの音が鶏の鳴き声に変えられていたりだとか、遊び心もあり、アレンジが非常にセンスの良い。 Pink Floydの持つブリティッシュっぽい哀愁とレゲエのメロディーの持つ哀愁の相性が良く、巧みに結びつけられているのも良い。 こうした他ジャンルによるPink Floydカヴァー・アルバムを他にも2枚ほど持っているけれど、このアルバムが群を抜いて素晴らしい。 他のがしょうもなかったりもするのだが。 と、これを久しぶりに聴いて気持ち良くなったところで、検索してみたら、ライブを収めたDVD 見てみたいけど、リージョン・コードがどうなのか。 その上、第2弾 今度のお題は、Radioheadの"OK Computer" ホレス・アンディーやシュガー・マイノットにトゥーツまで参加しているみたいで、興味はあるけど。 Radioheadかあ......。 う~ん....。 "Radiodread"って、バカっぽくて好きだけど。 |
![]() A Tribe Called Quest The Love Movement 98年の5枚目にしてラスト・アルバム。 前作 個人的には、イメージを一新した真っ白なジャケットと、"The Love Movement"なんてタイトルに拍子抜けした憶えが。 音の方はと言うと、ATCQとしての色は残しつつ、変化がより一層進んだ感じ。 なので、最初は違和感を感じ、徐々にその完成度の高さを理解して行ったような感じだった。 でも、最終的には、違和感の方が若干上回り、そんなに深く聴き込むには至らず。 98年だと、キャリアの長いグループがメジャーへ行ったり、消えて行ったりといった頃で、当然音にも変化が表れた頃だ。 それに加え、Q・ティップのが火事に遭い、レコード・コレクションのほとんどを消失してしまうなんてこともあったから、製作環境が変わることも自然の流れだったのだと思う。 また、個人的にはもっとアンダーグラウンドな活動をしているグループやアーティストを好んで聴いていた頃だから、ATCQの変化よりも、こちら側の好みの問題の方が大きかったかもしれない。 で、久々に改めて聴いてみると、このアルバムの印象は以前とそれほど変わらず。 もともとクールな音を出すグループだっただけに、よく分からないけど、多分、プロツールズのような環境で作られたと思われる機械的な音は合っていると思う。 けど、若干、機械的過ぎな印象もあり。 一応、この中で好きな曲もあるし、楽しんで聴けるギリギリの線かも。 当時、このままグループが存続し、この路線が更に進んだとしたら、多分、聴かなくなっていたのではないかと思う。 バスタ・ライムスのゲスト参加のセカンド・アルバム このくらいのゲスト参加なら大丈夫だけど、とてもじゃないがアルバム1枚は聴いていられないと思う。 セカンドの頃は格好良かったのに。 という感じで、完成度の高さは認めつつ、わりと冷めた1枚。 再結成、どうなんだろう。 |
![]() A Tribe Called Quest Beats, Rhyme And Life またもや、ATCQに戻りまして。 96年の4枚目のアルバム。 3枚目のアルバム でも、このアルバム、リリース当時はあまり評判が良くなかったはず。 たしかにそれまでのアルバムと比べると地味だし、ヒップホップ自体、シーンが大きくなり、音が変わり始めた頃で、このグループ自体もまた次の段階への過渡期的な時期だったのだと思う。 個人的には、最初こそ音の変化や2曲ほどでフィーチャーされている女性ヴォーカルに違和感を憶えたものの、何度か聴くうちに、それほど悪くないんじゃないかと思い、2枚目、3枚目ほどではないにしろ、それなりに聴いていたアルバムだ。 で、やはりここ1週間くらい、何度か、かなり久しぶりに聴いてみていた。 そして、以前感じていたよりも、ずっと良いアルバムだなと感じた。 すべての音が1点に集中して行くような音作り。 2枚目、3枚目の方が聴いていて気分的に盛り上がるし、好きなことには変わりはないけれど、このアルバムも明らかにその延長上にあり、なおかつ一歩進んでいることを、今、実感できた。 現在、このアルバムがどういう評価をされているのか、まったく知らない。 でも、先に書いてしまうと、一般的に非常に評価が高いらしいラスト・アルバム なので、多分、次回、そのラスト・アルバム行くと思います。 |
![]() Jazz On A Summer's Day 真夏の夜のジャズ そして、さっそく「真夏の夜のジャズ」を見に、2日連続バウスシアターへ。 一度見てみたかった映画なのだけれど、DVD でも、ちょうどそんなタイミングで、映画館の大きいスクリーンで見ることが出来る機会があり、嬉しい限り。 「ストップ・メイキング・センス」も共々、今回、日本では最後の上映だそうで。 いきなり結論から入ってしまうと、とても良い映画だった。 特に何ということもなく、わりと淡々と、演奏の様子、それを見る客の様子、町の様子、ヨットレース(?)の様子、パーティーの様子などが次々と映し出されるだけなのだが、不思議と見入ってしまう。 観客は、比較的裕福な人々が中心なのか、とても品が良く、それぞれ踊ったり、アイスを食べていたり、サンドイッチを食べていたり、真剣に見入っていたり、と、思い思いに楽しんでいる様子が伝わってくる。 演奏に関しては、終盤のルイ・アームストロング、マヘリア・ジャクソンは別として、客と同列に扱われる感じで、もっとちゃんと見てみたい、と思うところも多かったが、1本の映画として、また、あの出演者の多さから考えれば妥当なところなのかも。 もっと見たい、と思った代表的なところは、やっぱりセロニアス・モンクの演奏シーンだろうか。 出番も、真っ昼間で、映画の中では2番目、本人が写るシーンもそう多くはない。 ポスターでは、大きな写真が使われているのだが、そのわりには。 このフェスティバルが行われた58年当時、またはこの映画が公開された当時とその後~現在までのモンクの評価の変化の表れか。 印象に残ったシーンを挙げてみると。 チコ・ハミルトンのグループで、演奏する若いエリック・ドルフィー。 ライブでの演奏シーンも良かったが、チラッとだけ写るどこかの一室でのリハーサルシーン。 このグループ自体、他の出演者とは雰囲気が異質で、とても興味を持った。 名前は分からないが、チェロ奏者がひとりで煙草を吹かしながら弾いているシーンも良かった。 若いチャック・ベリー。 ルイ・アームストロングのプロのエンターテイナーぶり。 アニタ・オデイやビッグ・メイベル・スミス(いろんな意味で凄かった)など、何人か女性のヴォーカリストが出演していて、どれも素晴らしかったが、やはりトリのマヘリア・ジャクソン。 ほとんどマイクを使っていないに等しい、あの歌唱力。 最後の曲、とても感動的だ。 その他、トップを飾ったジミー・ジェフリーやソニー・スティット、ジェリー・マリガンの演奏が格好良く、それぞれちゃんと聴いてみたいなと思った。 と言う具合に、バンド側から発信された「ストップ~」とは対照的に、第三者の目で作られたこの映画、とても見応えのあるものだった。 機会があれば、また見てみたいけど、DVD、再発してくれないだろうか。 一応、サントラ ![]() ![]() |
![]() Talking Heads Stop Making Sense 先日、映画フリーク(そして、ジェシー・ハリス・フリーク)のある方に、58年のニュー・ポート・ジャズ・フェスティバルを収録した映画「真夏の夜のジャズ」と、このTalking Headsのライブ映画である「ストップ・メイキング・センス」が渋谷のユーロスペースで公開されるということを教えてもらった。 「真夏~」の方は、前にTさんにお薦めされ、みたいなと思っていた映画なので、絶対見に行こうと即決。 でも、この「ストップ~」の方は、見るつもりがなかった。 なぜなら、Talking Headsが苦手で、ほとんど興味を持ったことがなかったから。 最近こそ、Phishが"Remain In Light" ちょっと話がそれるが、10年ほど前、福島に住む友人のところへ遊びに行った時、車であちこちに連れて行ってもらったのだが、友人の車のカースレテオにはカセット・デッキしかなく、しかもカセット・テープがたった1本、たまたまデッキに入れっぱなしになっているのがあっただけ。 なので、ドライブしている間、延々そのテープを聴くはめになった訳だが、それがTalking Headsだった。 どのアルバムだったのかまでは分からないのだけれど、何しろその辺りの音楽が苦手だったので、なかなか退屈な憶えをした記憶がある。 多分、今まで手が出なかったのには、この体験が関係しているのではないかと思う。 で、Talking Headsについてはそんな感じだったのだが、先日、また別の友人が遊びに来た際、「アルバムを聴いても面白くないんだけど、この映画だけは好き」なんてことを言っていた。 なかなか凄い意見だなと思いながら、でもそこまで評価しているなら、いきなり気に入るかどうかも分からないDVD スケジュールの関係で、同時開催していた吉祥寺のバウスシアターの方が都合が良かったので、そちらに。 冒頭、デヴィッド・バーンがひとりでむき出しのステージに登場し、アコースティック・ギターを弾きながら"Psycho Killer"を歌う姿を見て、意外な始まり方に少し面喰らう。 さすがにこの曲くらいは知っているが、この曲もPhish(それともトレイのソロ?)がやっていたのを聴いていて、そっちの方が馴染んでいるのだけれど。 で、次に女性のベーシストが加わり、1曲。 後ろでは、少しずつセットが組み立てられ、なるほど、そういう仕掛けかと気付く。 この曲で、ベースのリズム感があまり良くないので、ちょっと不安に。 そして、1人、また1人と加わり、Talking Headsのメンバー4人が揃う訳だが、この辺まで、少々退屈。 なので、更に不安に。 でも、この後、黒人の女性コーラス2人とやはり黒人のパーカッションが1人加わった辺りで、ガラッと印象が変わった。 バンドとしてのTalking Headsの演奏は、想像していたよりもずっとうまかった(あたりまえか)のだけれど、ここから更に密度が濃くなる。 さらにギターとキーボードが加わり、この後は、途中、ちょっとだれた場面はあった(こっちがね)ものの、結構引き込まれた。 最後の最後のメンバー紹介でそのキーボードがバーニー・ウォーレルであることを知り、驚いた。 まあ、そんなことも知らずに見ていただけなのだが。 何となく聴き憶えのある曲は少しあったけれど、曲名どころか、ほとんどの曲を知らないまま見ていたので、かなり省略する。 でも、見終わっていみると結構な充実感。 照明に照らし出されるデヴィッド・バーンはちょっと怖いが、映像としても面白かったし。 Talking Headsの何がどう凄いのか、今まで分からなかったのだけれど、少しは実感できたような気がする。 少なくともライブにおいては、グルーヴの大部分を黒人のサポートメンバーに頼っている訳だが、黒人のリズム感とバンド本来の独特な持ち味とが合わさり、更に独特な音楽が出来上がっているのがとても面白かった。 DVDではなく、大きい画面で見ることが出来たのは良かったと思う。 ただ、CDを買って日常的にTalking Headsを聴きたいか、というと、ちょっとどうだろう。 気が向いたら挑戦してみようかな、というそのくらいの感じ。 でも、この映像は、また改めて見てみたいかな。 ![]() |
![]() Milt Jackson And Wes Montgomery Bags Meets Wes! 61年のアルバム。 このアルバムは、turuさんのところで知り、興味を持った。 それに加え、先日、MJQを取り上げた時、turuさんを含めてコメントをくれた方々、3名が、「MJQはつまらん、でもこのアルバム(ミルト・ジャクソン名義の作品)は好き」と概ね一致した反応だったので、それじゃあ、聴いてみなければ、ということで。 ついでに言うと、実はまだウェス・モンゴメリーをまともに聴いたことがない。 もちろん前々から聴いてみたいとは思っていて、先日、最近リリースされたDVD で。 これが、実に良いです。 ミルト・ジャクソンの演奏、MJQでのそれとは別人じゃないかと思ったほど。 なるほど、こういうことか~、と納得しました、 turuさん。 細かいことを抜きにして、単純に楽しめるアルバムだ。 全員一丸となって、素晴らしいグルーヴを作り出している。 ほぼ初めて聴くウェス・モンゴメリーの演奏、ジャズをちゃんと聴くようになる前に持っていた「ジャズ・ギター」のイメージそのもの。 スピーディーな演奏が非常に気持ちがよい。 グラント・グリーンとは、また違った魅力がある。 リーダー作、聴かなければ。 その他のメンバーについては、ピアノのウィントン・ケリー、ドラムのフィリー・ジョー・ジョーンズもとても良いが、中でもベースのサム・ジョーンズの演奏が耳をひく。 ただ、残念なことに、この盤、テイク違いがボーナストラックとして収録されているのだけれど、オリジナルの曲順を無視したパターン。 もともと収録されていた7曲中、3曲を2度ずつ、続けて聴かなければならないのが、内容が良いので苦痛というほどではないけれど、やっぱり違和感がある。 でも、調べてみたら、現行の国内盤 事前にちゃんと調べるべきだった...。 けれども、それを差し引いても、かなり気に入りました、このアルバム。 そして、一応、念を押しておきますが、MJQも、1枚しか |
![]() A Tribe Called Quest Peoples Instinctive Travels And The Paths Of Rhythm 再び、ATCQに戻ります。 更に遡って、90年のファースト・アルバム。 当時、このアルバムがシーンに与えた影響は相当なものだった、らしい。 以前、このアルバムをリアルタイムで聴いていたと思われる人々が、このアルバムを最高傑作として挙げているのを雑誌などでよく見かけたし、このアルバムに関わった、当時まだ無名だった(?)テイ・トウワが、ATCQやJungle Brothersのレコーディングはもの凄く勉強になった、とインタビューで語っていたのを読んだ記憶がある。 だから、多分、ネタの選び方、組み合わせ方、ビートの組み立て方、などなど、当時としてはきっと革新的だったのだろうな、と追体験の者としては、そう想像するしかなかった。 でも、何しろ、このアルバムが出た頃、ヒップホップは興味の対象外だったので、そんな当時の状況も分からないし、音で判断するしかなく。 やはりセカンド・アルバム で、ここ数日、このアルバムこそ本当に久しぶりに聴いてみている。 全体的に内容の方は、聴いていた頻度のわりには憶えていたが、最後の数曲、ほとんど記憶になかった。 でも、それは多分、前にどこかで書いたような気がするが、ヒップホップは通勤の時に聴くことが多く、終わりの方が通勤時間からはみ出るので、あんまり聴いたことがなかったせいだ。 改めて聴いてみると、少しは細かいところが楽しめているような気がする。 このアルバム、少し長めなので、以前は途中で飽きてしまっていたが、今はそんなこともないし。 良いなと思う曲は、以前とあまり変わりもなく、ルー・リードの曲を大胆に使った"Can I Kick It?"あたり、やっぱり格好良い。 他には、1曲目、いきなり7分もある"Push It Along"や6曲目の"Public Enemy"も面白い。 多分、もっと聴き込めば、もっと面白く感じられてくると思う。 ただ、概ね、印象は以前と変わらないし、セカンド、サードのような興奮がないのもたしか。 一応、前よりは楽しめることが分かっただけでも、収穫か。 そんな感じです。 |
![]() Altered States plays Pink Floyd 11/21/06 Pit Inn - Shinjuku, Tokyo, Japan 予定通り、Altered Statesの2日目へ。 昨年は、サンタナの"Lotus" 個人的には、サンタナはほとんど知らないということもあるし、それ以上にPink Floydはかなり思い入れのあるバンドなので、Altered Statesがやるとどうなるのか、非常に楽しみだった。 でも、カヴァーではなく、徹底的に再現、という趣旨であることが徐々に分かってきて、もしかしたら見に行くのは1日目だけでもよかったかなという気持ちが、若干、ありつつ。 7時15分頃到着すると、リハーサルをしている音が聴こえてくる。 人数が多いから、リハーサルを始まる時間が遅れたのか、念には念を入れて、のためなのか。 ちょっと時間が押しそう、ということで昨日もご一緒したTRさんと待つ。 結局入れたのは、約15分押しの7時45分頃だったか。 整理番号が微妙な感じだったが、何とか席を確保でき、一安心。 1日目より、遥かに人が多い。 で、8時15分頃、スタート。 まずは、これ ![]() Altered Statesの3人の他、ホーンがたしか6人、コーラスが4人、キーボードに、SE担当の女性、ROVOの勝井さんがヴァイオリン、という大編成。 これが驚くほど、原曲そのまんま。 まあ、細かいことを言えば違うんだろうけど、そんなことは気にならないほど再現されていて、なかなか感動的。 CDを持っていないせいもあって、久しく聴いていなかったが、そうそう、こんな展開だったよな、とか、ここのベースのフレーズ、こうだったよな、とか思い出しながら聴く。 そして、原曲とほぼ同じ長さ、約25分ほどで終了。 このアルバム、以前、良く聴いていた頃は、B面の方が好きだったのだが、これでちょっと見直したというか、もうちょっと違った聴き方が今なら出来そう。 ここで30分ほどの休憩&セットチェンジを挟み、次はこれ ![]() 今度は人数が減り、Altered Statesの3人、キーボード、SE担当の女性、コーラスが女性のみ2人、前半、コーラスを担当していた外国人の男性(フレディー・クルーガー似)がメインのヴォーカル(曲によってはギターも)、それにサックスが1人。 でも、いよいよ、という所で機材のトラブルが発生し、若干遅れる。 始まったのは、9時15分頃だっただろうか。 これもやはり、CDを持っていないおかげで、久しく聴いていない。 だから、「原子心母」同様、いろいろと思い出しながら聴く。 ついでに、Pink Floydをアホみたいに聴いていた頃のことを思い出したりして。 再現度の高さは、「原子心母」の方が高かったように思うが、細かい効果音までキッチリ再現されていて、かなり手が込んでいる。 サンプリングなど、大変だったのでは。 ちょっと残念だったのは、"Great Gig In The Sky"でのスキャットの声が出ていなかったこと。 特に歌い出しのところなど、かなり辛そうで、今更ながら、このパートがかなり難しいことを知った。 TRさんの話だと、ロジャー・ウォータスが来日した時、このパートを担当したのが、リンダ・ルイスだったそうだ。 意外な名前を聞き、驚いた。 「狂気」の部も、出だしにトラブルに見舞われたものの、アルバムとほぼ同じ長さ、約45分ほどで終了。 ここで、まったく引っ込む気配を見せず、そのままアンコールへ。 今度は、これ ![]() ここで、ギターに鬼怒無月さんが加わる。 演奏曲は、"Shine On You Crazy Diamond "の前半Pt.1~5にあたる部分。 これもなかなかの再現度。 Pink Floydを初めて聴いたのがこのアルバムで、実をいうと、「狂気」よりこっちの方が思い入れが強かったりするので、やはりいろいろと思い出しながら聴く。 ただ、細かいことを言えば、サックスがもうひとつだったか。 そして、これも、ほぼ原曲通りの長さで終了。 1日目よりは演奏時間が少し短かった。 2日を通して全体的に言うと、純粋にAltered Statesとして面白かったのは断然1日目だが、2日目も別物として、かなり面白いライブだった。 題材がPink Floydであったことも大きかったと思う。 そして、予想外に最も感動的だったのが「原子心母」。 おそらく、Pink Floyd自身もそれほどライブでやってないのに、ホーン入りであそこまで再現しようと思う事自体、尊敬に値する。 しかも、本来、3人組なのに。 帰り、当然のようにPink Floydを聴きたい心持ちになったが、iPodには1曲も入っていないため、残念ながら別のものを聴きながら帰った。 CD、買わねば。 でも、聴きたくなったのは、ライブの開始前やセットブレイクにかかっていた、これ ![]() |
![]() Altered States meets Yuji Takahashi 11/20/06 Pit Inn - Shinjuku, Tokyo, Japan 二夜連続のAltered Statesの1日目、新宿ピットインへ。 このバンドを見るのは、7月以来三度目。 今回は、高橋悠治さんという方がピアノ&ラップトップで参加。 恥ずかしながら、今回初めて名前を知った方だ。 始まる時に時計を見なかったが、多分、8時ちょっと過ぎ、ほぼ予定通りメンバーの登場。 バンドのお三方に加えて、想像していたよりも年配の方が現れる。 この方が高橋さんのようだ。 で、演奏が始まる。 しょっぱなから緊張感たっぷり。 いつも通りと言えばいつも通りだが、ピアノが入っているので、かなり雰囲気が違う。 やはり先の読めない展開。 ピアノを前面に押し出す場面が多いせいか、芳垣さんのドラムがいつもと比べるとやや控え目に聴こえる。 が、ピアノとギターの応酬が面白い。 ラップトップが発するノイズと、ギター、ベースの両氏がエフェクターを駆使して出す音、誰がどの音を出しているのかパッと聴き分からないのも面白い。 今日座った席からだと演奏している姿をちゃんと見ることが出来たのが、ベースのナスノさんだけだったのがちょっと残念。 そして、約1時間ほどの、多分ぶっ通し1曲(なのか?)、演奏している方も、客も曲が終わったのかよく分からないような終わり方で終了。 拍手するタイミングが難しい。 30分ほど休憩を挟み、セカンドセット。 ファーストセットよりは、やや激し目の展開も多かったか。 前回見た時も、ファーストは静かめで実験的、セカンドは比較的激し目に、という展開だったから、ワンマンのライブの時はある程度、構成というちょっとニュアンスが違いそうだが、大枠みたいなものが決まっているのだろうか。 それでも、やはり、ドラムはやや抑えめの印象。 もちろん、ピアノが入ることによる面白さは十二分にあるのだけれど、芳垣ファン(?)としては若干物足りなさも。 叩いている姿があまり見えなかったせいもあるかもしれない。 そして、約30分の曲を2曲で終了。 ここで一旦引っ込み、すぐアンコールで登場。 この時点で、10時半近く、長めにやるのかと思ったら、4、5分ほどであっさり終了。 でも、この曲、格好良かった。 全体的には、あっさりしていたように思う。 もちろん、内橋さんのギターは相変らず面白いし、聴きどころもたくさんあったが、ピアノが入って、若干敷居の高さがアップした部分もあったのでは。 この辺り、例えば、もう一度、じっくり聴くことが出来るなら、また印象が変わりそうなのだけれど。 その高橋さんのピアノ、何となく、今日聴いた限りではレニー・トリスターノとか、そういう雰囲気を感じた。 今まで、どんな活動をしてきた方のか知らないので、的外れかもしれないが。 そう思って、オフィシャル・サイトを見てみたら、どうやらジャズというよりは、現代音楽畑の人らしい。 ということは、その印象もあながち間違いではないのかもしれない。 しかも、現在、68歳らしい。 ラップトップを操る68歳、素晴らしい。 明日の2日目、総勢18名によるPink Floydのカヴァー(コピー)大会だそうで。 明後日には、渋谷で、内橋さん、高橋さんにイクエ・モリ(!)さんの3人によるライブもあるとか。 興味はあるが、さすがに3日連続はちょっと。 という訳で、明日の2日目だけ、行く予定。 |
![]() A Tribe Called QUest The Low End Theory ついでに91年のセカンド・アルバム。 これは良く聴いた、そして、未だにたまに聴きたくなる。 初めて聴いたのは、リアルタイムではなく、前回のサード・アルバム あまりの格好良さに、もっと早く聴いとけば良かった、と後悔した記憶が。 そんなこのアルバム、シンプルな良い曲ばかりなのが、特に好きなのは1曲目"Excursions"から2曲目"Buggin' Out"への流れ。 とにかく1曲目のイントロのベースラインがインパクト大で、たまたま買ったアート・ブレイキーの"Buhaina" それに2曲目、ファイフのラップの入り方の格好良いこと。 その他、"Check The Rhime"や"Jazz(We've Got)"だとか、名曲も多いが、最後を飾る"Scenario"も良い。 Leader Of The New Schoolの面々が参加し、マイク・リレーを繰り広げる訳だが、単純明快、非常に格好良い(ばっかりだ)。 特にバスタ・ライムスのインパクトが大きい。 こういうラガ・スタイルの人は、何人かのMCの中に一人いるととても効果的。 ソロになってからはくどすぎてアルバム1枚通して聴くのが辛かったが、この頃は良かった。 そんな訳で、これからも聴き続けるであろう1枚。 ヒップホップは、シンプルなやつが良い。 |
![]() A Tribe Called Quest Midnight Marauders 93年のサード・アルバム。 このグループの作品で最初に聴いたのがこれ。 いつ頃買ったのかまでは良く憶えていないが、多分、リリースされてしばらく経ってから、でも、中古盤屋で1000円くらいで買ったことだけはなぜか良く憶えている。 順序は逆になるが、このアルバムよりも後に聴いたセカンド・アルバムの"The Low End Theory" 自分自身がヒップホップを聴き始めて、まだ日が浅かったこともあるし、そんな人間が聴くには少し渋めだったのだと思う。 でも、その渋さが分かるようになると、ズブズブとはまった1枚だ。 ここ数年は、ヒップホップを積極的にあまり聴いていないので、このグループを聴きたくなった時には、何かに付けて"The Low~"の方ばかり聴いていた。 単純に、まだiPodにそれしか入れていなかったからでもあるのだけれど。 なので、このアルバム、かなり久しぶりに聴いてみている。 この研ぎすまされた感じ、やはり凄いし、気持ち良いことこの上なし。 以前よりも、更にそう感じる。 このグループの登場からリアルタイムで体験している人に言わせるとファースト・アルバム 個人的には、その2枚、どちらかを選ぶのは非常に困難。 「進化」のセカンド、「深化」のサード、といった感じだろうか。 最近、再結成がどうとかって話題を見かけるが、どうなってるんだろう。 一時の企画的なものなのか、それともアルバムを作ったりするんだろうか。 興味はあるけど、最近のヒップホップのつまらなさからすると、ガッカリする気も...。 |
![]() Jack McDuff The Honeydripper 61年のアルバム。 メンバーは、リーダーでオルガンの「ブラザー」・ジャック・マクダフの他、ジミー・フォレスト(参照)がテナー、グラント・グリーンがギター、ベン・ディクソンがドラム。 先月、次は何にしようかと考えていたら、特に黒いジャズがお好きなお二方、turuさんとblueroseさんからジャック・マクダフのプレスティッジの作品をリクエスト&お薦めされ、さっそく。 それなら、古い順に聴いてみよう、ということでこのアルバムを購入してみた。 この頃、グラント・グリーンはマクダフのバンドに所属している、ということをグラントの作品にマクダフが参加した"Grantstand" その"Grantstand"が61年8月の録音、このアルバムが同年2月の録音ということで、こちらが先になるようだ。 "Grantstand"は、2人の息の合った演奏を聴くことができる良いアルバムだった。 さて、こちらは、ということになるが、1曲目からド派手。 オルガン、弾きまくり。 "Grantstand"でも、かなり弾きまくっているような印象があったが、こっちは更にその上を行く感じだ。 もちろん、誰に焦点を当てたアルバムか、という違いがあるから当然だけれど、ブルーノートとプレスティッジの雰囲気の違いが何となく感じられて面白い。 どちらも、ルディ・ヴァン・ゲルター録音なのに。 ギターに注目すると、今のところ、1曲目の"Whap!"と4曲目の"Dink's" Blues"辺りの演奏が印象に残っている。 プレスティッジでの2人の共演作は、この他に"Goodnight It's Time To Go"と"Steppin' Out"という2枚のアルバムがあるようだが、調べた限り、どちらもオリジナルのフォーマットでは手に入らないようだ。 続けて行ってみようかと思っていたのだが、残念。 一応、"Legends Of Acid Jazz" どうしよう。 でも、それしかないならしょうがないか。 それはともかく。 まあ、細かいことは抜きにして、このアルバムは単純に楽しむことができる。 でかい音なら、なお良し。 |
![]() The Genius Of Charlie Parker Bird And Diz 50年録音。 チャーリー・パーカーとディジー・ガレスピーのスタジオでは最後の共演盤だそうで。 他には、ピアノがセロニアス・モンク、ベースがカーリー・ラッセル、ドラムがバディ・リッチ。 モンクと共演した唯一のスタジオ作品でもあるそうで。 かなり前に、友人から、一応、世間的には大名盤とされている"Jazz At Massey Hall" だから、チャーリー・パーカーとディジー・ガレスピーをまともにちゃんと聴くのは初めてと言っても良いと思う。 で。 もう、ただ凄いとしか言いようのない演奏。 そして、聴いていて楽しい。 個々のアドリブの応酬が凄いのはもちろんだけれど、それよりもサックスとトランペットの息の合いっぷりが見事。 ここまで息の合った二管の演奏って、多分、聴いたことがないと思う。 果たして、この先もあるかどうか。 1、2年前に聴いていたら、個々まで思わなかったかもしれないけれど。 それと、ピアノについて。 最初、このアルバムのバード&ディズ以外のメンバーを気にせず聴いていて、ピアノがなんだかモンクっぽいな、とふと思った。 そして、改めてチェックしてみたら本当にモンクだった。 そのくらい、この辺りについては知らないまま聴いている訳だが、ここでのモンクは、とてもモンクらしいプレイが聴ける部分もあるし、バッキングではこういう感じでも演奏できるんだなと、それなりに発見もあるが、やはりこの人は自身の作品を聴いた方が面白いと思う。 まあ、「バード&ディズ」を聴くためのアルバムだから、それも当然だろうか。 惜しむらくは、この盤、アウトテイクがご丁寧に、テイク順に挿入されていて、同じ曲を繰り返しながら聴かなければならない。 このアルバムの場合、なぜだか、勢いでそれもあまり気にせず聴けてしまったりもするのだけれど、やっぱり、違和感あり。 聴き比べるには良いのかもしれないが、毎回聴き比べるつもりもないし。 いい加減、こういうの何とかならんもんでしょうか。 余談ですが。 このアルバムを最初に聴いたとき、何となくオーネット・コールマンの"Free Jazz" 表現方法は違えど、この辺が確実に下地としてあるような気がする。 どうでしょう。 |
![]() Main Source "F*ck What You Think" 94年にリリース、されるはずが、所属していたレーベルのWild Pitchから追い出され、お蔵入りとなったアルバム。 この辺りの経緯について全然知らなかったので、96年にリリースされたベスト・アルバム このアルバムの時には、既にラージ・プロフェッサーは脱退済み。 脱退前には"The Science"というアルバムをリリースする予定もあったそうだが、結局それもリリースされることなく、リアルタイムでリリースされたアルバムは91年の"Breaking Atoms" そんなこのアルバム、ひょっこりとCD化されたことがあった。 記憶では、前述のベスト・アルバムがリリースされた後だったから、96~97年くらいではなかっただろうか。 あまり自信はないけど。 で、その頃、何度かCD屋で手に取り、その度に「今度買おう」と思いつつ、気付いたらいつの間にかまったく見かけなくなっていた。 あの時買っておけば良かった、と思っているCDは、多分、そんなに多くはないと思うが、これはそんな中の1枚だった。 先日、友人とそんな話になって、その友人がこのCDを持ってるということが分かったので、先週、その友人が遊びに来た時に持って来てもらった。 おかげで念願が叶い、約10年越しで聴くことができた。 と言いながらも、何しろ、96年のベスト・アルバムのリリースの目的が、お蔵入りになったこのアルバムの曲を掘り起こすことだったので、このアルバムの主だった曲は、ベスト・アルバムに収録されていて、かなりの曲は既に聴いたことがある。 だから、正直、それほど新鮮味はなかった。 でも、それを差し引いても、良い。 もの凄く、良い。 自分がヒップホップを聴き始め、最も熱心に聴いていた頃の音そのものなので、何の違和感もなく、カチッとはまる感じだ。 このグループは、ラージ・プロフェッサーにばかり注目が集まり、まあ、その辺りが不仲の原因でもあるそうなのだが、このアルバムを聴くと決して他のメンバーに才能がなかった訳ではないことがよく分かる。 再発されれば、買います。 してください。 |
![]() Grant Green Reaching Out 61年のアルバム。 前回に続いて、非ブルーノート作品。 もともとは、ジャズタイムというレーベルから、ドラムのデイブ・ベイリー名義でリリースされたもので、再発にあたりグラント・グリーン名義に変更されたらしい。 "Green Blues"なんてタイトルでリリースされていたこともあるとか。 ベイリー以外の参加メンバーは、テナーにフランク・ヘインズ、ピアノにビリー・ガードナー、ベースにベン・タッカー。 ベイリーとタッカーは、このアルバムの約半月後にレコーディングされた"Green Street" このアルバム、少し前にturuさんのところで紹介されていて、興味を持った。 もちろん、いずれ聴くつもりではあったのだけれど、その時期がちょっと早まった感じだ。 turuさんの記事を読むまで、ブルーノートの諸作と比べれば、やはりB級感の漂うジャケットから、このアルバムはどうなのかなあ?と少しばかり下に見ていたのが正直なところ。 でも、実際に聴いてみると、たしかに完成度の点ではブルーノート作品に譲るとしても、これはこれで、とても良い雰囲気で楽しめる。 実際に聴いてみなければ分からない、という当たり前のことだが、実感するばかり。 ただ、タッカーのベースは好きだし、ヘインズのサックスもぶっとくて良いのだが、ガードナーのピアノが今ひとつ。 それと、何となくリーダー不在な感じ。 それが、グラント・グリーン名義に変更された所以でもあるのだろうけど。 他のメンバーがリーダーを立てたにも関わらず、肝心のリーダーがわりと普通のドラムのポジションに落ち着いてしまって、その結果、こうなってしまったような印象。 でも、決してそれが悪いことばかりではなく、リラックスした雰囲気を生んでいて、うまい具合に、良い面と悪い面が相殺されているような感じか。 こういう結果オーライ的なものは、ブルーノート作品には見られない(あり得ない?)ので、なかなか面白いと思う。 グラントさんのギターはと言うと、最初は、これをもってリーダー作としてしまうのはどうかと思ったのだけれど、何度か聴いてみると非常にらしい演奏が聴かれる。 タイトル曲の"Reaching Out"のようなスピーディーな曲も良いが、特に"Our Miss Brooks"や"A Flick Of A Trick"のようなゆったりした曲での演奏がとても良い感じ。 ベイリーさんには悪いけど、知名度からしても、演奏の「華」からしても妥当なところだろうか。 それと、turuさん曰く、「海賊盤みたい」な音質、とのことだったので、覚悟していたのだけれど、このCDはリマスターが施されていて、普通に聴く分には特に問題がないように思う。 多分、turuさんがお持ちなのはレコードなので、これからこのアルバムを買おうと思っていて、特にレコードにこだわっていない方であれば、CDを買う方が良いかと。 とりあえず、気軽に楽しめるアルバムです。 |
![]() Joao Gilberto Joao Gilberto For Tokyo 今回の来日に合わせて(当て込んで?)リリースされたアルバム。 こんなアルバムがリリースされることをまったく知らず、たまたまアマゾンで検索していて見つけたのだが、ジャケットの雰囲気と言い、"For Tokyo"というタイトルと言い、てっきり"In Tokyo" で、蓋を開けてみると単なるベスト盤で少しガッカリ。 でも、普段、このような来日記念盤の類いは滅多に買わないのに、一応、乗っかってみた。 本当は、初日のライブの時、会場で買うつもりでいたのだけれど、CDの売り場の混み具合が凄かったので、断念。 CDとは別の売り場で、同じように混んではいたけれど会場でしか買うことの出来ないパンフレットの方を優先した。 会場の規模のわりに売り場が小さすぎはしませんか。 そして、このCDの方は、翌日、CD屋で購入。 内容の方はと言うと、現在、ユニバーサルからリリースされている6枚のアルバムから代表的な曲がたっぷり20曲、70分以上に渡って収録されている。 選曲に特に文句はないし、普通に聴いていて、とても良いと思う。 未発表曲のようなサプライズはないものの、個人的には6枚中、2枚のアルバムはまだ聴いたことがないので、CDとしてちゃんと聴くのは初めての曲もあり、それなりに新鮮味もあるし。 後はこの曲順と仲良くなれるかどうかだが、「三月の水」のあとに”ウンデュ~、ウンデュ~”と来ないことに少し違和感がある程度で、多分、何度か聴いたら馴染むことが出来そう。 ただ、ベスト盤は、普段聴くことが少ないので、そこまで行くかどうか。 しかし、こうしてジョアン中心の選曲をしてみると、前回の続きではないけれど、スタン・ゲッツの参加した曲が、というよりゲッツのサックス自体が、名曲、名演であるにも関わらず、少し浮いて聴こえてしまう。 でも、何となく、この面白そうなことをしているブラジル人達のところへ、ズカズカと土足で上がり込むジャンキー・アメリカ人といった風情と、そのミスマッチ感が少し面白いと言えば面白い。 少しばかりスタン・ゲッツを悪者にし過ぎか。 別に嫌いな訳ではないんだけど。 ともかく、聴き方としては間違っていると思うが、ちょっと面白くなりつつある。 アルバムとしては、目論見通り、これからジョアンを聴きたい人向けの、入門用にはちょうど良い作品ではないでしょうか。 |
![]() Stan Getz & Joao Gilberto Getz/Gilberto 64年のアルバム。 スタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトの共演作。 ジョアンの関わった作品としては、最も有名なアルバムになるのだろうか。 聴いたことはなくとも、ジャケットくらいは見たことがあると言う人も多いのでは。 ここに参加しているのは、アントニオ・カルロス・ジョビンにミルトン・バナナなど、今改めて見るとても豪華なメンバー。 それと、アストラッド・ジルベルトも。 このアルバムもやはり、数年前に購入したものだ。 でも、なぜだかあまり面白く感じられず、結局、数回聴いたのみ。 聴いていて嫌な訳ではなかったけれど、ちょっと出来過ぎのような気がしたのだと思う。 それに加え、このアルバムに関する、というより、スタン・ゲッツとジョアンの間の、ネガティブな話題を知ってからというもの、あまり良いイメージがない。 この2人の共演作は3枚あるけれど、3枚目の共演作 それ以来、ここ最近までずっと聴いていなかった。 で、一応、聴き直してみようと言うことで。 かなり久しぶりに聴いたが、ジョアンがこんなに歌っていたっけ?というくらい内容を忘れていた。 以前よりは、このムードを純粋に楽しむことが出来る。 ジョアンの歌、ギター、ともに素晴らしい。 そして、ゲッツのサックスも、とても良い演奏だと思うし、他の作品を聴いたことがないので、ここでの演奏が他と比べてどうなのかは分からないけれど、他の作品をちょっと聴いてみたいなとも思える。 でも、何となく、この両者がうまく調和しているように聴こえない、というのは考え過ぎか。 それほど大きな違和感があるほどでもないし、それぞれプロに徹し、曲をぶちこわすようなことをしているようにも、もちろん聴こえない。 そして、それぞれが主になるパートを聴くと、それぞれに良いのだけれど、なぜだろう。 参加メンバーからすると、やはりジョアン寄りな雰囲気だが、ジョアンを聴きたい、と思った時に、このアルバムを選択する機会は今後も少ないと思う。 ゲッツ目線で考えれば、また違った感想になるのかもしれないが。 重要な作品であることを理解しつつ、やはり良くも悪くも「良く出来た」アルバムだなと思う。 もどかしい。 |
![]() Joao Gilberto 11/09/06 Tokyo International Forum, Hall A - Tokyo, Japan 2日連続のライブ観戦、9日は、ジョアン・ジルベルトを見に再び東京国際フォーラムへ。 この日は、今回の来日の最終日。 2年ぶりの来日のことを知ったとき、ただ何となく直感のみで、初日と最終日を見に行こう、と思ったのだが正解だった。 8日にしていたら、Sardine Headを見ることができなかったから。 という訳で、ジョアンのライブ。 初日のライブについて、いろいろとネットを検索してみると「最高でした」という声も聞こえたが、やはりちょっともうひとつな感が否めなかったので、最終日は、一体どうなるのかね、と不安半分、期待半分、という感じで迎えた。 会場に着いたのは、6時40分過ぎだったか。 ある程度待つことになるだろうと思っていたが、万が一を考えて、開演時間前には席に着いていたかった。 今回は、初日から1列後ろに下がって17列目で、また端の方かなと思って席を探すと、ジョアンの座る椅子のほぼ正面の位置。 これは良い。 そして、本を読みながら待つ。 すると、7時の開演時間、「まだ会場に来ていない」と例のアナウンスが。 本を読んでいて、少し眠くなって来たので、寝る。 最初から予想していたし、もう慣れたもので、開演前のこの睡眠時間が少し楽しみでさえあった。 もう1回、同様のアナウンスがあり、「ホテルを出発しました」とアナウンスされたのが、たしか7時40分頃。 初日よりは早いので、少し安心する。 で、ジョアンが登場したのが、ちょうど8時頃。 今回は、約1時間遅れ。 これが、ジョアンの標準時なのか。 ということは、20分ほどの遅れで始まった2004年のライブが奇跡的なことだったのだろうか。 それは、まあ、置いといて、登場したジョアンの足取りは、初日より軽いように見えた。 やはり、初日は疲れが残っていたのかなと思う。 ライブ自体、久しぶりだったと言うし。 演奏が始まると、いつも通りと言えば、いつも通りなのだが、なんだか少し聴こえ方が違う。 最高の出来、なのかどうかは分からないが、少なくとも調子が良さそう。 正直言うと、初日は何度か意識が吸い込まれそうになってしまったのけれど、今回は、不思議なことに聴く側としても、とても集中して聴くことが出来る。 もしかすると、ここ数日、持っていたけれど、あまり聴いていなかったジョアンの作品を集中して聴いていたのも助けになったのかもしれない。 でも、この人のライブは、ジョアン自身の体調、集中力にも左右されるが、聴く側としてもそういったことに左右される、そんなライブではないかと思う。 とにかく、個人的には、すべてがカッチリとはまった感じ。 不甲斐ないことに、未だ曲名と曲が一致しないまま聴いているおかげで、どの曲だったか明確にかけないのだが、ちょっと面白い場面があった。 一旦、曲を終え、聴衆が拍手をすると、その曲のエンディングをもう一度弾き直し、ニコッとする場面。 初来日から通算5回見ているけれど、こういう場面は、初めて見た気がする。 それと、その後の曲だったか、そのまた後の曲だったか、曲の終わりで、メガネがずり落ち、"Excuse Me"と一言。 これも初めて見たが、なかなか良い場面だった。 そういえば、8日と9日のライブは、ジョアン初となるDVDのために撮影していたのだが、こういうところ、収録して欲しいなと思う。 でも、多分、カットされるんだろうな。 そして、9時半頃、一旦引っ込む。 ここまで約1時間半。 初日が、アンコールまで含めて1時間半ほどの演奏時間だったから、やはり本調子ではなかったのだろうと推測する。 再び、登場し、20分ほど演奏。 聴いたことのない、ちょっとコミカルな曲が、やはり曲名が分からないのだけれど、とても印象的だった。 たしか、このアンコールのラストだったと思うが、記憶が定かではない。 で、再び引っ込み、再登場。 2回目のアンコールだ。 このアンコールの何曲目かに、また"Izaura"をやってくれた。 とても嬉しい。 この曲を再び聴けただけでも、2回見に行った甲斐があったというもの。 また、ここで終わるのかなと思ったが、その後数曲演奏し、最終的に演奏したのが、"The Girl From Ipanema"「イパネマの娘」。 途中、再びメガネがずり落ちるというオチが突く。 ギターの手を止め、メガネを直しながら、一瞬アカペラで歌うという珍しい場面を見ることが出来た。 この後、もうちょっとやってくれるかな、やって欲しいなと思ったが、やはりここで終了。 この曲、個人的にはそれほど思い入れはないが、4日間に渡った来日公演のラストを飾るにはふさわしい曲だと思うし、よい終わり方だったと思う。 DVDでカットして欲しくないな。 終了したのが、10時15分頃。 トータルで約2時間15分のライブとなった。 待ち時間を入れると、3時間以上。 それにしても、ゆったりした曲がゆったりしているのは当然のことながら、この人の演奏はサンバがベースになっているから、テンポが速い曲は、かなり速いにも関わらず、同時に緩やかな雰囲気を醸し出しているのはどういうことだろう。 これが、マジックなんだろうか。 5回も見ていて、今頃そんなことに気付いた。 今回、とても素晴らしいライブを見ることが出来たと思う。 今まで、5回見た中では、一番の満足度。 今回の来日、年齢的なことを考えても、もう最後かもしれないなと思って見ていたのだが、こうなると、ぜひまた来て欲しいと思ってしまう。 無理のない程度で、お願いします。 何なら、半年くらい、日本にお住まいになってはいかがでしょう。 ほんとに良かったです。 |
![]() Sardine Head 11/08/06 Crocodile - Shibuya, Tokyo, Japan 8日、9日の2日連続でライブを見に。 まず、8日は、Saedine Headのセカンド・アルバム"Shuffle" 8時半頃に会場へ到着すると、Meltoneが演奏中。 たしか、終わりから2曲目の途中だったか。 Meltoneを見るのは初めてだ。 うむ....。 という訳で、お目当てのSardine Head。 この日はゲストが加わり、ツイン・ドラムになると事前にアナウンスされていたので、いつもと違うものが見れるだろうと期待。 最初、3曲ほどは、いつも通り4人での演奏だった。 いつも通り、とは言っても、同じ曲でもいつも違うから、適切ではないかもしれないが。 それはともかく、この日の1曲目だったアルバムのタイトル曲でもある"Shuffle"がまた一段とエライことになっていた。 なんだか、ちょっとKing Crimsonっぽかったかも。 ベースがジョン・ウェットンみたいだったりして。 見る度に原型がなくなっていくのが面白い。 そして、4曲目"Yellow Tale"からドラムが加わり、ツイン・ドラムの5人編成へ。 いつもの力強さに輪をかけて力強く、直線的な印象。 セットリストによると、この編成では、あとChi Chi Booooo"と"Trick Cycling"の計3曲だったそうだが、なんだかもっとやっていたような気がするほど、濃い内容だった。 細かいことを言えば、つなぎのところでアレ?という箇所がなかった訳ではないけれど、そんなことは気にならないほどに。 良くあれで、崩壊しないなと感心するばかり。 演奏者の実力が拮抗しているバンドって、とても面白いな、と再認識。 この後、4人に戻り、2曲ほど。 本編最後は、"Block Signal"。 この普通にのらせてくれない、つんのめりそうな曲、とても好きだ。 で、アンコール。 再び5人で登場し、アルバムの宣伝を兼ねた、遊びながらのインプロが続く。 ここは、ちょっとダラダラ気味だったが、まあたまにはこういうのも。 この日、最も凄かったのが最後の"Loop"だ。 この曲は、いつも面白いし、凄いが、曲が進むにつれ、爆音に。 何とも説明のしようがないが、とにかく凄かった、としか。 ツイン・ドラムが、思っていた以上に面白かった。 ただでさえ濃いバンドが、より一層濃くなって。 また、ぜひやって欲しい。 でも、毎回だと疲れそうなので、半年に1回くらいの割合で。 という訳で、今回も面白いものが見れました。 |
![]() Joao Gilberto Joao Voz E Violao 2000年リリースのアルバム。 プロデュースが、同郷の後輩にあたるカエターノ・ヴェローゾ。 スタジオ作としては、今のところの最新作、と言っても、もう6年も前の作品。 このアルバムも前回の"Joao" その「ジョアン 声とギター」というタイトルが示す通り、全曲、弾き語り。 気に入っていた「三月の水」の方は、完全な弾き語りのアルバムではないけれど、スタイルが近かったので、このアルバムを買う時の期待はかなり大きかった。 評判の良いアルバムでもあったし。 でも、このシンプルな音には好感は持ったものの、思っていたよりも入り込めなかった。 「三月の水」とは30年近い開きがある訳だから、当然なことではあるのだが、声の印象が期待していたような感じだったからだと思う。 これのどこが良いの?、とまでは思わなかったが、なんとなくあまり聴かないでいたアルバムだ。 で、その他のアルバム同様、再び聴き直している今日この頃。 やっと分かった、と言えば良いのか、うまく表現できないのだけれど、凄く、単純に、良い。 初来日から何度か、生で見て、聴いている、そのままの音。 年齢を重ねたら、重ねたなりの表現をそのままシンプルに、というのが素晴らしいと思う。 長い間活動して来て(その割に作品は多くないけれど)、「今」の姿を表現するために、弾き語りというスタイルを選んだことがとても興味深い。 今までチャンスはあったはずなのに、なんでもっと早く聴き直さなかったのかと、ちょっと後悔している。 何となく、今まで「三月の水」のファンのような感じだったのが、やっとジョアンのファンになったような気がする。 これを踏まえて。 9日が改めて楽しみだ。 |
![]() Joao Gilberto Joao 91年のアルバム。 当時、ジョアンは59歳、スタジオ録音の作品としては10年ぶりとなったアルバムだそうだ。 数年前、"Joao Gilberto"(「三月の水」) なぜこのアルバムを選んだかと言うと、多分、特に意味もなく、調べた訳でもなく、ただ何となく、という感じだったと思うが、あまり良く憶えていない。 でも、このアルバム、買った当時は、数回聴いたのみで終わった。 何しろ、気に入っていた、そして求めていたのがアルバム"Joan Gilberto"のようなシンプルな音だったので、このアルバムでのストリングスやホーンをふんだんに使ったアレンジに違和感を感じたから。 違和感どころか、邪魔だとさえ思ったくらいだ。 そんなこのアルバム、やはり来日に合わせて久々に聴いてみている。 もしかしたら、ブログなんて初めてなかったら、ずっと聴くことはなかったかもしれないが。 で、通勤の時、iPod&イヤフォンで聴いていたのだが、何となく以前よりは楽しめた。 前は、余計だと思っていたパーカッション類はなかなか良い感じだ。 でも、やはりストリングスやホーンがちょっと鬱陶しく感じるところが多い。 ヴォーカルやギターの後でなっている分には気にならないのだが、時々、ヴォーカルと並列に、時にはヴォーカルの領域を侵して聴こえてしまうところさえある。 逆に、ジョアンのヴォーカル、ギターともに、円熟味のあるとても良い演奏だ。 これは、以前気付かなかった。 聴き込みが足りなかったらしい。 それだけに、非常にもどかしい。 そして、今、更に部屋でスピーカーを通して聴いてみている。 すると、イヤフォンで聴いているよりも、ストリングスやホーンがうるさく感じない。 やはりスピーカーで鳴らすことを想定したバランスでレコーディングされているということか。 なので、少し見直しつつ、でも、やっぱりアレンジ過多な気がしてならない。 駄作とまでは思わないし、むしろ良いアルバムであると今では思うが、やっぱりもどかしさが残るのはたしか。 ヴォーカルとギターはとても良いのに。 ああ。 |
![]() Joao Gilberto In Tokyo 2003年の初来日の2日目、9月12日のライブを収録したアルバム。 場所は、今回の来日と同じく、東京国際フォーラムのホールA。 当初、こういったCDのリリース予定はなく、チェック用に録音したDATを聴いたジョアン自身がこの日の演奏、録音をいたく気に入り、本人の希望で急遽リリースされたもの。 当日の演奏曲の中からは、3曲ほどマイクのバランスが悪いため、6曲ほどデジタルノイズによりカットされているそうだ。 180分のDATテープは薄いのでデジタルノイズが乗りやすい、とライナーに書いてあった。 非常にデリケートなのね。> 録音稼業の皆さん。 初来日の時、自分が見に行ったのは9月15日のパシフィコ横浜でのライブだったので、残念ながらこの演奏がが録音された、その場にはいなかったのだけれど、4回行われた演奏の中で、本人も納得の、特に素晴らしいとされる日の演奏がどんなものかとリリースされてすぐに購入。 そして、聴いてみて、もちろん良い内容であるとは思った。 でも、違う日とはいえ、実際自分でも体験していたからその雰囲気は分かっていたものの、あまりに地味な内容に敷居の高さを感じたのか、頻繁に聴くには至らなかったのが正直なところ。 そんなこのアルバム、今回の来日にあたり、予習も兼ねて、ここ数日、久しぶりに聴いてみている。 で、何度か繰り返し聴いてみて、ようやく楽しみ方が分かって来た気がする。 前回にも書いたが、反芻するのが非常に良くて、もう巧いとか下手とかの次元では語ることのできないジョアンの歌とギターがジワリジワリと効いてくる。 実際自分が見たパシフィコ横浜での演奏と比べてどうか、というのは3年前のことなので、残念ながら、細かいところまでの比較はできない。 でも、先日のライブと比較すると、たしかにこのアルバムに収められた演奏にはキレがある。 この日の演奏が選ばれたことに、少し納得。 それにしても、この人の名人芸とも言える演奏は実に見事。 人によっては退屈に感じてしまうだろうが、まあ、そういうものだろうと思う。 年齢による衰えなど、包み隠さず、今の自分をありのままに表現する、その様がとても良い。 このアルバムに収められた演奏もそういう類いのものだし、個人的には、やや物足りなさの残った先日のライブもそういう類いものだろう。 でも、この人の音楽は非常にデリケートなので、また、年齢的なことを考えても、体調など、コンディションの善し悪しがダイレクトに現れるのだろうし、それが面白いところでもある。 だから、本当はすべての日に演奏を音源化してもらって、繰り返し聴けたらとても面白いと思うのだが、まあ、無理でしょう。 という訳で、味わい深い1枚、であることに今頃気が付いた。 |
![]() Joao Gilberto 11/04/06 Tokyo International Forum, Hall A - Tokyo, Japan 前回書いた通り、ジョアン・ジルベルト、3回目の来日公演の初日へ。 2003年の初来日の時は1回、翌2004年の時は2回見に行ったので、今日で通算4回目になる。 今回のツアーでは、1階席の4列目までをスーパーシートとして、24000円のチケットが発売された。 たしかに間近で見られるのは魅力だが、どうせ24000円も払うなら、1回見るより2回見た方が良い、ということで初日の今日と最終日の9日のチケットを取った。(通常のチケットは12000円、これでも高いけど) これも前回、ちょこっと触れたが、初来日の時は、開演時間を1時間過ぎたところでようやく始まり、その上、途中、ジョアンが20分ほどステージ上で固まる、というなかなか強烈な、そして貴重な体験(?)をすることができた。 その体験があまりに印象に残っていたせいか、2004年の来日の時には、あまり待たされた記憶が無く、たしかジョアンが現れるのを待ったのは、せいぜい20~30分くらいのものだったと思う。 でも、「アーティストは既に会場に到着しています」とか、今までライブを見に行って聞いたことのないアナウンスが聞かれたりと、やはりいろいろと貴重な体験ができたライブだった。 なので、今回はどうだろう、と楽観半分、覚悟半分で臨んだ。 今日は、土曜日だったからなのか、会場4時、開演5時とやたらと早い。 4時半過ぎぐらいに中に入り、パンフレットを買ったりして席に着く。 で、開演時間の5時になった頃、「まだ、到着してません」のアナウンス。 まあ、しょうがないね、ということでパンフレットを読みながら待っていると、眠くなって来たので、寝る。 その後、2、3回同様のアナウンスがあって、その度に目を覚ましたのだが、終いには「ただ今ホテルを出発しました」と。 この時点で、結構気持ち良く寝ていたので気付かなかったが、既に5時50分頃。 会場では、ドッと笑いが起こる。 たしかに笑うしかない。 海外のライブでは、ジョアンに限らず、開演時間が遅れるのは普通、と聞くが、やはり日本では珍しい。 でも、まあ、これ込みで楽しみに来ているとも言えるし、それほど気にもならず、更に待つ。 やっと客電が消えて、登場したのが、たしか6時15~20分頃。 今まで見た中では、最長の待ちだ。 本当に来てたんだ、と少しホッとした。 今回の席、16列目の左よりで、ちょうどジョアンがギターを構えると、ギターがほぼ正面で、なかなかよろしい。 第一声、「ごめんなさい」って日本語で言ってたような気がするが、どうだったんだろう。 そして、気を取り直して(?)、ようやく演奏が始まる。 いつも通り、ボソボソと歌い、ギターを弾く。 細かい気分的な変化などは別にしろ、基本的に変わりようがないし、また、変わって欲しくもない。 でも、以前より、若干、声もギターの音量も小さく感じた。 前回は2年前なので、うろ覚えではあるが。 もしかしたら、長旅の疲れが影響しているのだろうか。 それでも、ただ淡々と、短めの曲を連発する。 途中、何かポルトガル語で喋っていたが、何と言っていたのか。 残念ながら、ポルトガル語はさっぱりなので、知りたい。 演奏する曲は、曲のリストを足下に置き、その場でそのリストから、時にはそのリスト以外からも決めるそうで、たしかにセッティングをしている時、長い紙を3枚くらい置いていた。 そういえば、その紙はもちろん、ジョアンが座る椅子やマイク、ギタースタンド、果てはモニターまでもジョアンが会場に到着した旨のアナウンスがあってからセッティングしていたのはなぜだったんだろう。 まあ、それはともかくとして、何曲やったのかは不明だが、7時半頃、演奏が終了し、一旦引っ込む。 が、すぐにアンコールのため再登場。 アンコール1曲目、ジャポン、ジャポン、と歌っていたから、どうやら日本を讃える歌らしい。 続いて、「イパネマの娘」に始まり、再び曲を連発。 最後が、前回取り上げた「三月の水」 アルバムでは、元奥方ミウシャさんとデュエットしている曲だが、なんだか後ろからミウシャさんの声が聴こえてきそうな感じだ。 好きな曲なので、単純に生で聴くことができて嬉しい。 この日、最も嬉しかったのがこの曲だ。 ここまで約30分、ライブが終了したのがちょうど8時頃。 全体的には、大幅に遅れて来たことを考えても、やはり体調でも悪かったのか、かなりあっさりした印象で、やや物足りなさがあったのもたしか。 でも、この人のライブは、どちらかというと後で再び聴いて反芻したいタイプのライブだな、と初来日時のライブ盤 まあ、初日ということで、試運転のような感じでもあったのだろう。 そういう訳で、最終日の9日に期待。 |
![]() ![]() Joao Gilberto Joao Gilberto 73年のアルバム。 邦題「三月の水」。 初めて聴いたジョアン・ジルベルトのアルバムがこれだった。 でも、昔からずっとジョアンが好きだった訳ではなく、聴いたのもこのアルバムがようやくCD化されてからのことだから、せいぜい、4、5年前のこと。 現在、流通している盤は、上記の右側の写真のCDだが、自分が買ったのは、左側のディア・ハート盤。 CD屋でたまたま見つけ、どうやらプレス数が限られていたようなので、それに乗せられて買った記憶がある。 で、聴いてみて。 1曲目のイントロだけで、ズブズブと引き込まれてしまった。 ハイハットや当時の奥方ミウシャのコーラスが入る曲はあるが、ほぼ全編、歌とギターだけ、というシンプルな音。 これが非常に素晴らしい。 素晴らしすぎて、他のアルバムを聴いてみても、ストリングスが加わっているだけでもアレンジ過多な気がして、買っては見たものの、結局日常的に聴いているのはこのアルバムばかり。 だから、ジョアンのファンというよりも、このアルバムのファンといった方が正確かもしれない。 加えて、初めて聴いた時、ニック・ドレイクを思い出した。 これが自分にとっては大きい。 ニック・ドレイクほどではないけれど、ちょっと内側に向かってボソボソと歌っているような、そんなところにとても惹かれた。 両者に繋がりはあるかと言うと、まったく分からないのだけれど、あるとすれば、ニック・ドレイクがジョアンの音楽を聴いていた、とかそのくらいのものだろうし、多分、ない。 でも、なぜか自分の中では両者が繋がる。 このアルバムを聴く時は、ボサノヴァがどうこうというよりも、ニック・ドレイクを聴く時に近い感覚でいる。 それともうひとつ、音質。 この盤は、ジョアンの了解を得て、オリジナルのアナログ・テープを使用しているそうで、その音が非常に良い。 単純に音質が良いとか悪いとかということではなく(もちろん良いんだけど)、とても耳にフィットするというか、とても好きな感触の音。 この音でなかったら、また印象がかなり違っていたかもしれない。 でも、今、普通に手に入る盤が同じマスターを使っているかどうかは、持ってないので不明。 ちょっと聴き比べてみたい気もするのだが。 そんなジョアン・ジルベルト、2003年に初来日を果たしてから、3回目の来日公演が明日(正確には今日)から。 そして、行ってきます。 初来日の時には、開演時間を過ぎてから1時間待たされたが、2回目の来日の時はたしかそうでもなかったはずだ。 今回はどうだろう。 そういえば、2回目の時、このアルバムの1曲目をやってくれて、とても嬉しかった。 今回もやってくれないだろうか。 知らない間にこんなアルバム 予習がてら、持っているアルバムを立て続けに聴いているので、ライブと併せて、ジョアン関連、多分しばらく続くと思います。 |
![]() The Creators The Weight 2000年のアルバム。 UKヒップホップの2人組プロデューサー・チーム(たしか)だが、実のところ、そんなによくは知らない。 このアルバムがリリースされた頃は、アメリカのヒップホップの大物達がメジャーに行ってだんだんつまらなくなったり、地下に潜って消えて行ったりと、徐々に興味が薄れ始めた頃だ。 それでも、まだアンダーグラウンド方面にはちょっと面白いのがあったりしたので、CD屋に行けばそれなりにチェックしては目に付いたものは買っていた頃でもある。 記憶が正しければ。 で、その頃、それまではあまりパッとしなかった印象だったUKヒップホップのシーンから面白そうなアルバムがちょこちょことリリースされていて、何枚か買ってみたりしていた。 その中では、多分、このアルバムが一番好きだったし、最も良く聴いたものだと思う。 このアルバムでは、モス・デフやらタリブ・クエリ、エル・ダ・センセイなど、アメリカ勢が多数参加。 いずれも、その筋の大物(?)らしいのだが、上記3名の他、数名を除いては全然知らないけれど。 そんなことから判断しても、当時のアメリカのアンダーグラウンドのヒップホップと密接にリンクした音だ。 この辺り、知っている限りでは、UKのグループでここまでアメリカのシーンと同期していたのは少ないんじゃないだろうか。 なんて断言できるほど知らないのだが、少なくとも、頭ひとつ抜きん出ているように思う。 骨太で、渋いネタ使いに、ビートの組み立て方も非常に好みだし、隙がない。 参加したラッパー陣もお見事。 久しぶりに聴いたが、たまにはこういうのも良い、と思った一枚だ。 いぶし銀。 |
![]() Spank Happy Vendome, La Sick Kaiseki 菊地成孔率いる男女2人組のユニットの2003年のアルバム。 そういえば、先日、どこかで行ったライブでこのユニットの解散を宣言したばかり。 と言っても、ライブを見たこともなければ、CDを聴くのもまったく初めてだが。 もう、いきなり本題から入ってしまうと、クラクラします。 もっと軽い音、薄っぺらいシンセサイザーの音などを聴く前には想像していたのだが、結構、へヴィーに作り込んだ音。 そこへ乗る、男女2人の軽薄な(失礼)ヴォーカル。 80年代っぽい、懐かしい感じでもあるが、Poison Girl Friendなんて嫌なものを思い出してしまったり。 でも、これ、菊地さんであることを知らずに聴いていたら、または全然違う人がやっている音楽として聴いていたら、多分、即座に、つまらん、と切り捨てていたと思うが、聞きかじっている程度ではあるけれど、氏のメディアでの言動やライブでの振る舞い、音楽の好みなどを総合して考えると、非常にらしいし、なんだか妙に納得してしまう。 手の込んだ悪ふざけ、手の込んだジョークと言うべきか。 実際、ライブでは敢えて口パクだと言うし、確信的なものであることは間違いない。 そういう風に聴いてみると面白いものだし、そういう聴き方が正しいような気がする。 とは言うものの、アルバム中、数曲は聴いていてまったくと言っていいほど受け付けないものもあるし、今、日常的に聴きたいとは思わないのだけれど...。 そんなこのアルバムの中で、デヴィッド・ボウイの"Fame"のカヴァーなんて選曲もなかなかのものだが、特にクラクラさせてくれるのが、オリビア・ニュートン・ジョンの"Physical"のカヴァー。 いや、この選曲もなかなかのものだが、凄いのは歌詞だ。 恐るべし、ニュートン・ジョン。 敢えてクラクラしたい時に聴くのも面白いかも知れません。 |
![]() Lennie Tristano Tristano 初めて聴くレニー・トリスターノ、55年のアルバム。 さすがにトリスターノ一派と言われるほど独自の道を歩んだ人であることくらいは知っていたけれど、ほとんど予備知識もなく、正真正銘、今日、いや日付が変わったから正確には昨日、初めて聴いた。 漠然と持っていたイメージと言えば、「難解」だろうか。 それと、ジャズというよりは現代音楽的なのではないかという予想もあり。 で、聴いてみると。 多分、細かいことを言えば理論的にも「難解」なことをやっているのだと思うが、単純に聴いた印象は、思ったほど「難解」ではない。 たしかに変わってはいるけれど。 前半4曲は、トリスターノのピアノにピーター・インドのベース、ジェフ・モートンのドラムというトリオ。 ピアノのピッチを変えてあったり、オーヴァーダブがされていたり、と一筋縄ではいかない。 55年という時代を考えれば、アイデア自体は相当早いのでは、と思う。 リズムセクションは、ひたすらストイックにリズムを刻み、その上にメロディアスなピアノが乗る。 予想していたほど楽曲は現代音楽的ではなかったけれど、響きがどこかひんやりとしていることと、実験的な試みなどは、現代音楽からの影響が強いのだろうか。 そして、後半5曲、愛弟子リー・コニッツとの5年ぶりの再会ライブでの演奏だそうで、雰囲気がガラッと変わる。 メンバーは、コニッツのアルトの他、ジーン・メイのベースにアート・テイラーのドラム。 やはりどこか整然とした冷たい感じはあるけれど、ちょっとリラックスしたムードもある。 とある本によれば、「かつての緊密感はない」ということだそうだが、これはこれで悪くはない。 むしろ、結構好き。 そんなこのアルバム、今朝、通勤の時に聴いて、一発で気に入ってしまった。 一般的に言って、楽しい雰囲気の作品ではないのだろうけど、次はどう来るんだ?、と先を早く聴きたくなるような楽しさがあった。 ちょこっと調べてみたら、いわゆるクール・ジャズと言われるものらしい。 多分、その辺りは今まで聴いたことがなくて、それほど興味を持っていなかったのだけれど、これがもし、その「クール」というものなら、意外と好きなのかもしれない。 もちろん、これ1枚で判断するのも早計だが。 何となく、Chicago Underground Duo/Trioなどは、この辺からも影響を受けていそうな印象を持った。 ああ、でも「黒い」ジャズがお好きな方々の評判は悪そう。 どうでしょう。 個人的には、「黒い」のも「クール」なのも好きですが。 |
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